いつか読書する日

映画の目次へ 

 

いつか読書する日 h19.8.23 DVD

 いつか読書する日をDVDで見ました。
この映画知らない方が多いと思いますが、
2004年に製作された、
田中裕子と岸部一徳の主演する映画で
50代の不器用な純愛を描いた感動の名作です。
朔的には、☆は3つ半でお薦めです。

 この映画の存在は、DVD「長い散歩」に入っていた予告編からです。
朔太郎は田中裕子のファンでして、
自分の娘が生まれた時に、彼女の名前をつけたくらいです(笑)。
彼女からは、なんとも言えない色気を感じています。

 長崎の落ち着いた街が舞台です。
大場美奈子(田中裕子)は50才で独身の一人暮らし、
朝は牛乳配達をし、午後はスーパーのレジの仕事をしています。
楽しみといえば、夜寝る前の読書だけであり、
彼女の部屋は本で埋まっています。

 彼女には大切な人がいます。
でも、それは誰にも言えない、
知られてはならない自分だけの秘密です。

 大切な人とは高校時代の同級生の高梨槐多(岸部一徳)です。
彼は結婚をしていますが、妻は末期の癌で自宅で寝たきりの状態です。
彼は、市役所の福祉課に勤めていて、
虐待されている子供への対応には熱血漢ぶりを発揮していますが、
それ以外はひたすら平凡に心がけ、自分を殺して生きています。
彼も秘かに美奈子を慕っています。

 高梨の妻容子(仁科亜季子)は、
末期癌の自分に献身的に介護してくれる夫に感謝をしています。
そして、死んでいく自分が、彼にできることは何か?と考えていました。
そんな時、夫が秘かに恋をしている女性が
毎朝牛乳配達をしている美奈子であることに気づきます。
それは、牛乳を飲まない彼がずっと牛乳をとっていることと、
牛乳配達の時に、耳を澄まして彼女を感じていることを知ったからです。

 容子は美奈子を部屋によんで、自分の命が残り少ないこと、
死んだ後は二人は心おきなく一緒に住んでほしいと言い残します。

 まもなくして容子は亡くなり、二人は遺言通り会って話をします。
二人は高校時代の同級生で、お互いに愛し合い交際をしていました。
しかし、高梨の父親と大場の母親が一緒に自転車に乗っていた所を
トラックにはねられるという事故に会うことで、
高梨は美奈子をさけるようになったと美奈子は感じました。
また、高梨は自分がプールでおぼれ死にそうになった時に、
美奈子がそれを笑ったと思いこんでいました。
このお互いの思い違いから、別れたと分かりますが、
分かったとしても、いまさらどうすることもできない二人でした。

 このままいてもどうしようもないと思って美奈子が去っていく時
突然かけより高梨が美奈子を思いっきり抱きしめます。
「今までしたいと思っていたことを全部したい。」
二人は美奈子の家に行き、激しく求め合います。
ここの場面は感動的で、涙があふれたきました。

 一夜を共にした二人
でも、美奈子はいつものように朝早く起きて、
牛乳配達に出て行きます。

 高梨は仕事に向かう途中で
虐待を受け、自分が保護した少年が川の中へ入っていくのを目撃し
自分が泳げないのに、助けたい一心で川に飛び込み水死します。
ただ、その顔には満たされたような笑顔でした。

 幸せの絶頂から一気に奈落の底に落ちた美奈子。
でも、その後も淡々と日常を続けるのでした。
そこには、以前とは違った思いを遂げた充実感があり
それが今後の彼女の支えになることを示しています。

 彼女が映画の中で、美奈子が寝る前にドストエフスキーの
カラマーゾフの兄弟を読んでいるシーンがありました。
どうして彼女がカラマーゾフかと思っていましたが、
きっと彼女の高校生のころは、ロシア文学の全盛の時代
そんな関係で、この本を読んでいたのでしょう。

ただ、終わったけど、二人とも相手や回りに気取られることなく
自分の中で相手を意識し、大切な人と思っていた。
 

 

上に戻る