ラベンダーの咲く庭で

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ラベンダーの咲く庭で h19.9.11 dvd

「ラベンダーの咲く庭で」をDVDで見ました。
しっとりした大人の映画で、心が豊かになりました。
朔的には☆は3つ半で、お薦めです。

の第2次世界大戦が始まろうとしている頃のイギリス。

 1936年、イギリスの片田舎に住む、二人の老女、
ジャネット(マギー・スミス)とアーシュラ(ジュディ・デンチ)の
姉妹の物語です。

 二人は単調で平凡な毎日、でも、落ち着いた生活を送っていましたが
ある日、その村の海岸に異国の青年が打ち上げられます。
それを見つけた姉妹は、自分の家に引き取り、親身になって介抱をします。

 そのかいあって、青年は順調に回復し
次第に村にもとけ込んで行きます。
そんな青年に妹のアーシュラが秘かな恋心を抱きます。

 アーシュラがその青年に強く惹かれていることを知った姉のジャネットは、
大人げないと、とまどいながらも、傷つけないように、
そっと寄り添っています。

 回復すると共に、彼がバイオリンの天才であることがわかってきます。
そんな時、アーシュラのライバルともいうべき女性が現れます。
彼女は、絵描きでこの村にしばらく滞在していましたが、
彼女にはバイオリンの名手である兄がいて、その影響もあって
青年のバイオリンの才能を見抜き、高く買っていました。

 若いふたりは互いに惹かれて行きます。
そして、彼女の導きで、兄と会い、青年は音楽家として成功して行きます。

 ジュディ・デンチの演技力に注目です。
70代の老女、彼女は恋もほとんどしないまま、
枯れていこうとしていました。
彼女の人生の後悔(恋をしていないこと)が、
この孫のような青年を恋することになったのでしょうか?
その切ない表情と仕草は、恋する乙女そのもの、
それを、姉にわからないように、こそこそする所が
何とも、いじらしくて可愛いです。

 姉妹は二人とも生涯独身だったようですが、
姉にはかつて恋人がいて、戦争のために別れたようです。
でも、それは人を愛し、人から愛されたという
思い出としては厳然としてあけです。
それをうらやむアーシュラ。
それを口に出すのは、だから私も青年を愛しても良いでしょ?と
言い訳をしているようです(笑)。

 青年に対する気持ちは姉妹で温度差はあるにしても、
どちらも自分たちにとっては大切な人と思っています。
いつまでも自分たちの所にとどまり、一緒に暮らせたらと願っています。
 
 そんな中に、恋敵とも言える若くて魅力的な女性が現れます。
心中おだやかでない姉妹は、彼女と彼を近づけないようにしますが、
若い二人が惹かれあうのは、どうしようもないこと。
もっとも、最初から勝負が見えているのですが……。
恋人を奪われ失恋したアーシュラの表情が何とも切ないですね。

 自分もだんだんと年をとって、
彼女達や、村の老人のようななっていく。
そんな近未来的な寂しさを感じました。

 でも、年をとってもアーシュラのように恋をすることがあり、
恋ができることを知ったことは、素晴らしいことです。
人を恋することは、永遠の若さを保つ秘訣です(笑)。

 ショコラの頑固ばあさん役の彼女とは似てもにつかない
可愛い老女役です。
彼女の時より見せる乙女のような表情、
そして、きれいだなあと思える瞬間がありました。
まさに、恋は魔物です(笑)。

 変化に富んだストーリーではなく、
淡々と老人と田舎の日常が描かれているだけだけど、
なぜか引きつけれら、画面に見入ってしまいます。
涙こそでてこないけど、老女と青年の人としての熱き思いが感じられて
心がしっとりと濡れてくる映画でした。
 

 

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