世界最速のインディアン

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世界最速のインディアン h19.8.7 dvd

世界最速のインディアンをDVDで見ました。

 期待した以上にすばらしい作品でした。
夢とロマン、そして熟年に勇気と希望を与えてくれました。
できれば映画館で見たかった作品で、
朔太郎的には☆3つ半でお薦めです。

 ニュージーランドの田舎に一人で住む、
バート(アンソニー・ホプキンス)は、
70代の老人で、今は年金で慎ましく暮らしています。

 若い頃は、有能なエンジニアであり、
自分の命ともいえるオートバイでは、
国内のスピード記録を持っていました。
でも、今の彼は心臓に持病があり、体も思うように動かないが、
それでも、オートバイにかけての知識と、意欲は群を抜いています。

 この映画でのインディアンとは、
彼が長年手作りで改良をしてきたオートバイのことです。
このインディアンにのって、アメリカに渡り
長年の夢であった、世界最速記録に挑戦する物語です。

 その舞台となるのは、遠く離れたアメリカのソルトレイクシティにある、
ボンヌヴィルでの競技会。
ここはライダーの聖地であり、世界最速を目指して
世界中からライダーが訪れる場所です。

 映画のモデルとなったバート・マンローは、
1967年に68歳で1000cc以下の部門で世界最速記録を達成した
伝説のライダーである。

 熟年、そしてこれから老後を迎えるものに、
勇気と希望を与えてくれる作品です。
ユーモアとペーソスに富んだ作品で、
次々におこる、感動的な出来事に
温かいものを感じさせてくれました。

 とにかく、実話というのが重いですね。
実話でさらに、絵に描いたようなハッピーエンドだから、
説得力があります。

 アンソニー・ホプキンスは相変わらずうまいですね。
彼だからこそ、良い作品になったのでしょう。
ちょっと変わって(相当かな?)いて、
頑固だけど、オートバイにかける
少年の夢と希望を持った老人を、実にうまくやっていました。
そして、なによりこの人物が愛されるべき老人であること、
それが彼の姿からにじんでいました。
ハンニバルとは同一人物とは思えません。

 隣の家に住む少年との温かい交換が見応えあります。
そして、少年の自然な演技がすばらしいくて、うまいですね。
セリフのうまさだけでなく、動きや表情がイキイキとしていました。

 隣にすむ家族にとっては、ちょっと困った老人だけど、
それなりに彼を温かく包んでいる。
彼が、愛され、地域社会から受けいられていることがよくわかります。

 遠くアメリカまで単身で渡り、
競技場まで行くのに、多くの困難があり、
絶体絶命かと思える所を、
そこで出会う人によって助けられて行きます。
彼の人柄の勝利といった所です。

 この人との出会い、関わりがこの映画の主題と思いますが、
それを実に感動的でかつ愉快に見せてくれました。

 狭心症の老人が、単身で行ったこともないアメリカに行き、
過酷なオートバイレースに出る。
そのことは、ちょっと考えただけでも
どれだけの困難があるかがわかるはずです。
でも、彼はそれを考えないで、ポジティブに考え
とにかくその会場にいけばなんとかなると確信しています。
その考え方が、すばらしく、そんな彼をみんなが応援するわけです。

 いろいろなエピソードがありました。
私の好きなシーンをいくつか、あげてみます。

 彼がアメリカに渡る時、暴走族が見送りにきて
餞別を渡すシーン。

 年金係の彼女が泊まった日に、
心臓の発作をおこし、救急車で運ばれた彼、
一人残された彼女を、近所の人が好奇の目で見ます。
そこで、彼女堂々と<彼にも愛は必要よ。>

 ハリウッドのドライブインで受付をしていた<おかま>ちゃん。
やさしくて、本物以上の女性でした(笑)。

 オートバイを運ぶキャリーのタイヤがパンクをして
その交換をした家の未亡人と、一夜を共にした朝のこと。
彼女の言った「カモン ベイビー」。

 キャリーが転覆して困っている時に
通りがかったインディアン。
彼から前立腺の薬(犬の金玉)をもらったこと。
この薬を飲んだ時に彼の表情、でも、そのおかげでレースに出られました(笑)。

 レースに出る前に、心臓発作が途中でおこらないように
事前に飲んでおいたから、
ついでにオートバイにグリセリンを飲ませました(笑)。
老いぼれのインディアンを労るように……。
 

 

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