北辰斜めにさすところ h20.2.2 名演小劇場
<北辰斜めにさすところ>を名演小劇場で見てきました。
若いっていいなあ、青春っていいなあ、と素直に感動できました。
やはり、三國連太郎は味があってうまいですね。
見た後から、じわーと良さがしみて来ます(笑)。
朔的には☆は3つ半で、超お奨めです。
まず題名の「北辰斜めにさすところ」?の意味です。
パンフレットには、このように書いてありました。
北辰とは北極星のことで、鹿児島はこの北辰を斜めに仰ぎ見る位置にあります。
この映画の舞台は、旧制の第七高等学校(現鹿児島大学)で、
七高の寮歌にこの言葉があり、そこからとったそうです。
まさに、この七高は北辰が斜めにさすところにあったわけです。
旧制高校は戦前までの教育制度で、
戦後生まれの私にはなじみはありませんが、
今でもこの制度のことを聞くと、古き良き時代を感じます。
ここに入るのは極めて優秀なエリート達で、
卒業すれば、帝国大学への入学が保証されていて、
将来は、日本を背負って立つつ人物となります。
そんな、超エリート達の生き様を描いていますが、
そのエネルギッシュな様は、見ていて気持ちがよく、
時には無茶をやって、人に迷惑をかけることはあっても、
真摯に反省姿はすがすがしいものを感じます。
でも、勉強も半端でなくやり、その志の高さはものすごいものです。
今の時代が忘れ去った、自分の国は自分が背負っていくんだという、
そんな気概を強く感じました。
七高の学生寮の生活を中心に、
そこでの人間関係を濃密に描いています。
それは、私の一番嫌いなものであり、
一番望んでいるものであったかもしれません。
入寮の時に、先輩が話す言葉
「バカの天才になれ」「天才的なバカになれ」
そこに、途方もない大きな人物の理想が見えるようである。
旧制高校は、そんな人物を作る、自由で活力にあふれたところであった。
しかし、そんな彼らを待っていたのは、戦争という悲劇であった。
野球部のエース上田(三國連太郎)を中心に、
七高生の寮での生活と人間関係を描いている。
七高と五高(現熊本大学)との因縁の野球の試合を経て、
卒業後帝国大学の医学部に進み、軍医の後、東京で開業医になり、
いまは、隠居として悠々自適の生活を送っている彼の元へ、
七高野球部創設100周年記念の「五高対七高の親善試合」があり、
同窓会への参加の依頼があったが、
彼は頑なにそれを断った。
それは、七高の寮の先輩である
草野正吾(緒形直人)の死に関わっていた。
出演者は、三國連太郎(1923年生まれ85歳)、
緒形直人、北村和夫、神山繁(1929年生まれ79歳)、坂上二郎等。
反戦映画、でも戦争のシーンはほとんどなかった。
わずかにフィリピンに軍医となって上田が、
負傷した草野に出会い、軍の命令から彼を置き去りにするシーンのみであった。
あとは、間接的な表現で反戦を貫いていた。
例えば、上田の弟が特攻で死んだり、
大学の恩師が、引率中の生徒と一緒に
長崎で被爆したこと等‥‥。
これがかえって、反戦の気持ちが伝わり、心にしみた。
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