隠し砦の三悪人

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隠し砦の三悪人 the last princess h20.6.1 半田コロナ

隠し砦の三悪人を半田コロナで6/1(日)に見てきました。
朔的には☆3つで、予想よりもはるかに良かったです。
特に出だしから前半までは、ものすごくよくて、
これは☆3つ半だなと思っていたけど、
後半になってやや失速しましたが、それでも総合で☆3つです。

 黒澤作品のリメイク版とのうたい文句が全面に出ていたけど、
私は全く別の作品と考えた方が良いのではと思いました。
なぜなら、前半までは黒澤作品の脚本に忠実でしたが、
後半からは<武士道>から<恋物語>に変わってしまったからです(*^_^*)。
リメイク版だとすると、あそこまで脚本を変えていいのかとの疑問がでますので、
やはり、名前だけが同じの別の作品だと考えた方が妥当だと思います。

 戦国時代に互いに国境を接する三国(早川、山名、秋月)がありました。
三国は、早川の『義』山名の『野心』秋月の『富』と呼ばれていましたが、
ある時、野心に燃える山名によって、秋月は滅ぼされます。
復讐に燃える秋月は、姫と軍資金をもって、義の篤い早川に逃げて
お家の再興を計ります。

 すでに自国の国境を山名に固められていたので、
そこからは早川に逃げることができません。
そこで、山名の裏をかき、一旦山名の領地に入り、
そこから早川に逃げるという計略を立てます。

 このことにひょんなことから関わった山の民
武蔵(松本潤)と又七は、埋蔵金の分け前がもらえると思って、
雪姫(長澤まさみ)と真壁六郎太(阿部寛)に同行をします。
4人の行く手には、幾多の困難と危機が待っています。
果たして、4人は早川に無事逃げて、
秋月家の再興はできるのでしょうか?

 映画の最初にこのドラマの時代背景を
地図を示しながら、説明があったので、
その後のストーリーがよくわかりました。
確か、黒澤作品にはそれがなくて、
どうも時代背景が読みにくかったことを覚えています。

 リメイクの仕方には、
脚本どおりでいくのか(椿三十郎)
アレンジをするのか(隠し砦の三悪人)の二つがあると思いますが、
どちらにしろ、元になる作品が
名作すぎるとそれを上回ることは、なかなかむつかしいものです。
 
 ところで、題名の<三悪人とは?>
三悪人とは、百姓の二人と侍一人のことだと思うけど、
でも、どう考えても悪人とは思えないですが(*^_^*)。
そして、今回の副題<ラストプリンスセス>の意味もよくわかりません。

 主役をどちらにするのか?
黒澤作品と今回の大きな違いがここにあります。
黒澤は真壁六郎太(三船敏郎)が主役で、
今回は山の民である武蔵(松本潤)主役で、
雪姫との恋をメインにしました。

 もちろん映画だから、恋愛も何でもありかもしれないけど、
でも、戦国時代に大名の姫と百姓の恋は
相当無理があるのでは?と思いました。

 黒澤作品の雪姫(上原美佐)の存在感は絶対的なものがありました。
セリフは全くの棒読みだし、演技らしい演技もなかったけど、
存在感だけは強烈で、それが今でも残っています。

 <裏切りごめん>の言葉の使い方も、
二つの映画を際だたせていました。
それによって黒澤は、<武士の友情>を描き、
今回は<身分違いの恋愛>を描いていますが、
こちらは黒澤に軍配があがったと私は思います。
それとも関係があるとおもいますが、
今回は特に終わり方がすっきりとしなく、
黒澤作品のように、胸がスーとして、
拍手喝采で終わるというわけには行きませんでした。

 黒澤作品の、百姓コンビ(千秋実と藤原鎌足)が
スター・ウォーズのでこぼこロボットコンビの元になっていることもあって、
敵役の田所兵衛(椎名桔平)は、ダースベーダーとそっくりの格好で登場し、
悪に徹していましたが、日本の戦国時代であるということを考えると
あまりにも懲りすぎですね(*^_^*)。

 その点、真壁六郎太を演じた阿部寛は、
眼光鋭く迫力がありました。
三船敏郎に負けず劣らず、
この映画では一番輝いていた気がします。
 

 

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