クライマーズハイ

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クライマーズハイ h20.7.6 半田コロナ

 クラマーズハイを見てきました。
この映画は、横山秀夫(「半落ち」の作家)氏が
日航機事故の当時、地元紙の社会部記者として、
この事件の取材をした経験を小説にし、
ベストセラーになっていたものを映画化したものです。

 朔的には☆は3つ半でお薦めです。

 524人乗りの日航ジャンボ機が群馬県の御巣鷹山に墜落したのは
1985年の8月12日です。
私は35才の時で、その時は大阪に職員旅行に行っていて、
大阪駅に向かう帰りのタクシーの中で
このニュースを聞きました。
この映画を見て一瞬、その当時のことが思いだされました。

 報道がどのようにあったのかは覚えていませんが、
連日のようにこのニュースが
テレビ新聞で報じられていたことは確かです。
そして、その報道の裏ではこの映画のような
すさまじい報道合戦があったのでしょう。

 520人の死亡ということは、4人の生存者があったということで
そのことも話題になりましたが、まさに奇跡ですね。

 この前代未聞の航空機事故のことを報道した
群馬県の地方新聞の活躍を描いています。

 社長の命により、この事件の全県デスクに任命された
悠木(堤真一)は新聞記者の信念に従い、
全力をあげてこの事件の報道にあたる。
まずは、佐山記者(堺雅人)を墜落現場に向かわせるが……。

 新聞ができるまでにはいろいろな葛藤がある。
事なかれ主義の上司、営業や広告担当の圧力
それぞれに利害関係が絡んで、壮絶な戦いの場となる。
その戦場の熱気が強く感じられて面白かった。

 堤真一良し、堺雅人特に良し、尾野真千子の男まさりの女記者良し
どこの組織にもいる腹の立つ上司達も良し、
そして、山崎努のあくどいエロ社長ぶり良し(^_^;)。
その他の記者も個性的で、熱気が伝わってきた。
実際にあんな風に議論をしたり、喧嘩をするとは思わないが、
それくらいの勢いがなければ、良い紙面はできないことを示している。

 新聞記者魂を見せられました。
そして、新聞を作るとはどういうことかを知らされます。
外での取材以上に、社内の人間関係が重要です。
特に面白のは編集局の3人の上司。
「大久保・連赤」という言葉が何度も出てくるが、
これは、かつて群馬県で起こった大事件、
連続殺人鬼大久保清と連合赤軍事件のこと。
その報道で活躍した人達が、今や編集局の部長や局長になっている。
彼らは、過去の栄光にしがみつき、徹底的な事なかれ主義。
それに真っ向から衝突する、悠木などの若手の対照が面白い。

 「チェック、ダブルチェック」
これは悠木が優柔不断なためではなくて、報道人としての哲学である。
人間というものは、あることを正しいものだと思いこんでしまうと
目がくもりとんでもないミスをおかす。

 「まあいいや」とか「おそらく大丈夫」と、チェックを忘れたり
チェックが甘い時に限ってミスがでる。
でも、報道の世界ではそれは他への影響が大きすぎて、
絶対に許されないことである。
悠木は、チェックが不十分な状態で特ダネを抜くより、
それが、誤報になることを恐れる。

 特ダネを「抜く」といいますが、
この<抜く>は他社を出し抜くことからかな(*^_^*)?

 特ダネは大きいほど、取材する記者にとって、
ドキドキし、足がすくんで興奮状態になる、
<クライマーズハイ>とはそのような状況のことなのでしょう。

 また、デスクにとっては、特ダネの知らせがあり、
〆切ぎりぎりまで印刷を待つ、
そこへ、待っていた特ダネ記事が入ってくれば恍惚となります。
いやその途中の方がもっとハイかな?

 ランナーズハイは知っていましたが、
クライマーズハイというのもあるんですね、
どんなものであるか、
山登りの好きな人に教えてもらいたいものです。

 ラストがはっきりとしないのが私的には残念、
もう少し、はっきりとした形で終わってほしかった。
半分だけハッピーエンドだったかな(*^_^*)?
 

 

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