松ヶ根乱射事件 DVD h20.2.29
本年度、キネマ旬報ベスト・テンの第7位に
この「松ヶ根乱射事件」が入っていました。
そして、同じくキネマ旬報の日本映画助演男優賞に
この映画の三浦友和が選ばれていたことから、
興味を持ってDVDで見てみました。
雪の上に真っ赤な服を着た若い女性の変死体、
それを少年が見つけることからこの映画は始まります。
冒頭のこのシーンから、この映画は何が起こるかわからない、
不気味なものが伝わってきました。
松ヶ根というありふれた、
そして退屈きわまりない田舎町で起こったこの事件をきっかけに、
それまで表面的にはうまく行っていた家族が、
翻弄され崩れて行くさまを描いています。
もっとも、この家族はこのことがなくても、
いつかは崩壊すると思いますが……。
主人公の光太郎(新井浩文)は、交番勤務の巡査
その退屈な日々にうんざりすると同時に
家族関係でストレスが溜まり
爆発寸前でした。
それが、町にやってきたアベックによって
弟のひき逃げ、金塊騒動、父親の浮気と次々に事件が起こり、
さらにストレスは溜まって行きます。
松ヶ根乱射事件、このタイトルから犯人が
人質をとって銃を乱射する、そんなおどおどろしい事件を連想させましたが、
内容は全く違っていました。
三浦友和のだめ親父ぶりが最高です。
彼は、続三丁目の夕日でも、娘と妻に先立たれた
頼りない医者の役を好演していますが、
昔の2枚目のイメージの払拭に躍起となっているのかもしれません。
そのおかげで、幅の広い役柄をこなせるようになっています。
だから、今回の演技は助演男優賞の価値は十分にあり、納得できるものです。
また、謎のアベック役を演じた木村祐一も、
彼の持っている不気味さ、怖さが、
この映画の役柄にぴったしで、良い味を出していました。
監督の山下敦弘は、『リンダ リンダ リンダ』や『ユメ十夜』等を
撮った31才の才能ある人ですが、この映画で何が言いたいのか?
私にはイマイチわかりませんでした。
ただ、映画の構成、組立方に新しさを感じました。
出演は、新井浩文、山中崇、川越美和、木村祐一、三浦友和です。
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