サイドカーに犬

映画の目次へ 

 

サイドカーに犬 DVD h20.3.18

 本年度のキネマ旬報の主演女優賞を竹内結子が
この作品で取ったので、どんな作品かと思って見てみました。
彼女が従来主演した映画、例えば<春の雪>
<いま、会いに行きます>とは全く別の女性を演じ、
今までのイメージを破った所に、この作品の価値があると思います。

 不良少女がそのまま年をとって30代前半の女性に、
たばこをパカパカ吸うような、ちょっと危ないイケイケのお姉さん。
でも、内面はしっかりしていて、人の良さとやさしさがある。
そんな複雑な役柄をうまく演じていました。
これなら主演女優賞もうなづけます。

 主人公の薫は、30代の独身のキャリアウーマン、
今、弟の結婚式の招待状で心が揺れています。
不動産会社の仕事に悩み、ストレスがたまっています。
そんな彼女が過ごした、小四の夏休みの物語です。

 父が会社を辞めて、突然中古車販売の会社をやると決めた時、
母親が突然家出をします。
それは今までの父親のいいかげんさに
我慢の限界が来たからでした。

 何事にも杓子定規に考える母、自由のない束縛の世界で、
少女ながらそこから逃れたいと願っていました。。
そこへ母とは全く違うタイプのヨーコさん(竹内結子)が、
ドイツ製の自転車に乗って颯爽と現れます。

 ヨーコさんは父親の恋人で、夕飯を作ることを父から頼まれたからです。
とまどいながらも、しだいに彼女の自由奔放さと
豊かな包容力に惹かれていく薫でした。

 小四なのに自転車に乗れない彼女に
自転車が乗れると「世界が変わるよ」と言って
一緒に練習をし、自転車に乗れるようにしてあげます。
このことが象徴するように、
彼女は少女の世界を広げる役割を果たします。

 ある時、父と喧嘩したヨーコさんは、薫を誘って伊豆に旅立ちます。
そこでの二人の短い夏の思い出は、
薫には鮮明にかつ深く心に残っていきます。

 薫は、ある時サイドカーに乗っている犬を見ました。
犬は家族の一員として、さも当然のような顔をして乗っていました。
その犬に薫は自分を見ました。
父とヨーコさん、そしてサイドカーに乗っている自分。
これが自分の求めていた世界なんだと…………。

 しかし突然母が帰ってきて、ヨーコさんは出ていきます。
そして母は、ヨーコさんを見て、父に見切りをつけ離婚して
薫を自分の里に引き取ります。

 この映画は竹内結子の新しい魅力にあふるる作品。
格好良い竹内結子に会えます。
☆は3つ半で、お薦めの作品です。
思春期の少女の心の微妙な揺れ、動きをうまく描いていました。
 

 

上に戻る