チーム・バチスタの栄光

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チーム・バチスタの栄光 h20.2.24 半田コロナ

 この映画を見たいと思ったのは、
この原作である小説が、
第4回「このミステリーがすごい大賞」で大賞を
受賞したと聞いたからです。
映画の面白さや良さの大半を原作や脚本が占めることを考えると
ミステリー好きの私が、見たくなるのは当然のことです。
そして、このミステリーが医療現場の手術に関すること
(あまりこのテーマは記憶がありません)は新鮮です。
また、竹内結子、阿部寛のコンビも興味深いですね。

 心臓手術という私にとって未知の部分をテーマにしていました。
緊迫した手術現場を見ることができ、そのチーム内での人間関係や
チームを離れた個人の医者が、いろいろなことを考えている。
当たり前の話ですが、医者といえども人間であるということですね。

 人間の生死は重大なもの、本人家族にとっては
それによって大きな影響を受けます。
それを医者に託すのですから、
その思いをもって、人間の生死をかけての手術を何度も何度もする。
医者として、平常心を保っていくことの難しさと重要さを感じます。

 映画を見て、一番病んでいるのは医者である、
そんな感じを強く受けました(笑)。

 阿部寛の存在は偉大です、彼の登場で一気に映画が盛り上がり、
面白いものになりました。
彼のはちゃめちゃぶりの捜査が、笑わせてくれました。
でも、捜査される側はたまったものではないです。
映画だから、まあいいか(笑)。
緊張の中での笑い、それは貴重です。
この映画決して喜劇ではないけど、
時々笑わせてもらいました。
ミステリーとしても面白いし、
竹内結子も良かった。で、朔太郎的には☆は3つ半でお薦めです。

 心臓のバチスタ手術(映画の中での説明を私なりに解釈すると)は、
本来伸び縮みするべき心臓が、拡張症により拡大しきって、
収縮をしなくなる。そこで、心臓を手術で切ることで、
心臓本来の機能を回復させ、また元のように拡大と縮小を
繰り返せるようにすることです。
ただ、この手術の難しさは手術の時に一度心臓を止め、
その間は人工心臓に依存し、手術後また心臓の回復を待つことです。
この心臓が再び鼓動をするかどうかが鍵となり、
それを待つ間は、それこそ心臓が止まる緊迫感があります。
それは、その場にいないとわからないことである。

 このむつかしいバチスタ手術の成功率は
一般的には60%であるが、
東城大学付属病院の専門集団「チーム・バチスタ」は
26回連続で成功をさせるという奇跡を起こしていたが、
立て続けに3回連続で失敗をしてしまう。

 その調査を院長から依頼されたのが、
心療内科医の田口先生(竹内結子)だった。
さっそく調査に乗り出した彼女であったが、
手術が失敗に終わった原因を特定できず、
原因不明との結論をだす。

 ところが、厚生労働省の調査官白鳥が登場して、
事件は急速な進展を見せる。
彼の強引で予想外の聞き取り調査は面白い。
聞き取り調査の中で、チーム7人の一人一人に話を聞くが、
そこの中に大きなヒントがあった。
もっともそれは映画を見終わった後でわかることであるが……。
今思えば映画の中に、犯人のヒントとなる
いろいろな付せんがついていたことがわかるが、その時は気がつかない。
 
 緊迫したシーンの中に時々笑いを入れて、
楽しみながら推理をさせてもらった。

 執刀医の助教授が視野狭窄症で下の方が見えないことが、
手術の失敗の原因、これで犯人がわかった一見落着かと思っていたら、
麻酔医が実は犯人であった。
彼は、勤務の過労からのストレスを解消するために
そのことをしていた。
 心臓が動かない時の、チームのみんなの動揺ぶりが楽しく
ストレスの解消になる。
なぜ、やってはいけないの?が
彼の精神状態の異常さを物語っている。
そういえば、調査の時に、激務からアイスしか受け付けないと話していた。

 最後に、白鳥の言った言葉、
「これで厚生労働省が病院の管理を強めることができる。」
これも意味深な言葉である。
 

 

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