ゼロの焦点

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ゼロの焦点 h20.1.5 DVD

 松本清張原作の<ゼロの焦点>をDVDで見ました。
この映画は1961年公開のモノクロ映画です。
白黒は、戦後まもなくの暗い日本を、
さらには冬の日本海や北陸を描くにはベストです。

 監督: 野村芳太郎 原作: 松本清張  脚本: 橋本忍
音楽: 芥川也寸志 は名作、<砂の器>のコンビですね。

 出演: 久我美子 高千穂ひづる 有馬稲子
南原宏治 西村晃 加藤嘉 出演者がみんな若い、
その中で特に有馬稲子の若い時が
あれほどの美人だったとは驚きました。

 新婚一週間目の夫が、新妻を東京に残し、
仕事の引継のために金沢へ出張し、そのまま失踪をします。
この失踪を不審に思った妻は金沢に行き、
夫の足取りを必死でたどりますが、
夫の行方どころか、謎は深まるばかり。

 あきらめて、東京に帰った妻に
夫は今の仕事の前に、立川で巡査をしていたことがわかり、
このことをきっかけに、複雑に絡んだ糸が少しづつほぐれて行きます。

 今やテレビの火曜サスペンス劇場などでおなじみの
海の見える断崖絶壁のラストシーン
そこで犯人と、その事件の謎解きをする人が対決をしますが、
その原型が、この映画にあったのがおかしかったです。

 高校時代に「点と線」を読みましたが、
それと同じ頃にこの「ゼロの焦点」も読みました。
内容はすっかり忘れてしまいましたが、
夫が誰にも知られずに別人として
よその土地で結婚をして暮らしていたことの意外性だけは覚えていました。
果たしてそんなことができるものかと……?

 この映画の殺人の動機は、自分の過去を隠したいためのもの。
戦後の日本、か弱い女性が一人で生きていくための手段として、
「ぱんぱん」と言われながらも、外人を相手に春を売っていた女性達。
これは、本人としてどうしようもないことで、戦争が産んだ悲劇です。
 この問題を真正面からとらえたこの作品は、
社会派としての知られる清張の、面目躍如といえる作品であると思います。
 

 

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