腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ DVD h20. 9.11

 非常にインパクトが強く、独特の雰囲気を持った邦画を見ました。
何が起こるかわからない、ストリー展開のため
目が離せず画面に集中させられました。
朔的には☆は3つ半で、特に刺激の欲しい方にはお薦めです(^_^;)。


 この映画は女の自意識やエゴ、妄想を題材に作品を世に送り続けている
「劇団 本谷有希子」の同名の戯曲を映画化したものです。

 サトエリこと佐藤江梨子が実にうまく、ぴったしのはまり役でした。
少し前、サトエリブームがあって、どうして今頃
サトエリなんだろう?と思っていましたが、
その意味がこの映画でよくわかりました。

 この映画での彼女は、スタイルが抜群でセクシー、
可愛くて、憎たらしくて、適当にだらしなくて……(^_-)。
その上、演技もうまく、男には魅力たっぷりの女性でした(^_^;)。

 彼女が演じた主人公澄伽は、
自己中で、被害妄想で、自信過剰で、プライドが高く、
自分は絶対に正しくて、そんな自分にみんなは嫉妬して、
自分をじゃましてばかりいる。
自分の能力や才能を過大に解釈し、そうであると堅く信じている。
そういう困った勘違い女です(^_^;)。

 まあ、人から嫌われる典型的なタイプで、
世の中には、そんな人は程度の差こそあれいっぱいいますよね。
男女を問わず私の一番嫌いなタイプですが、
それを演じたサトエリは実にうまく、
魅力的であったので、今回は許します(*^_^*)。

 両親が突然不慮の事故で死にます。
その葬儀のために、音信不通であった長女の澄伽が
4年ぶりに東京から帰って来たことから
平穏だった家族に徐々にきしみができ、崩壊をしていく物語です。

 澄伽が女優になるために東京へ行きたいと言い出し、
父親に強く反対されます。
「お前には演技の才能が全くない」との父の言葉で
かっとなった澄伽が刃物を父に向けた時、
それを兄の宍道が止め、
自分の顔に傷を受けます。

 宍道は、澄伽を慰めるために彼女の部屋に行き、
「お前は私にとって大事な人だ」と言って関係を結びます。
その時に澄伽から、私だけをこれから先愛していくと誓わされます。

 女優になることをあきらめ切れない澄伽は、
同級生を相手に売春をして東京へ行く資金をためていました。
そのことを、妹の清深がホラー漫画にして投稿したものが
新人賞をとって雑誌にのります。
そのため澄伽のことが村中の噂となり、
澄伽は村にいられなくなり、逃げるようにして東京へ行きます。

 長男の宍道<しんじ>(永瀬正敏)は、後妻の連れ子であり
澄伽とは血のつながりがなく、過去にあった澄伽との秘密で、
彼女を恐れています。
 心やさしき嫁を澄伽が帰ってきてからは特につらく当たっています。
それは、澄伽との秘密に対する
心の葛藤であり、罪の意識です。
それは、彼が真面目で、この家族を何とかしたいと強く願っているからです。

 宍道の嫁である待子(永作博美)は、捨て子で施設に育ち
30歳までは東京で一人暮らしをしていて、
結婚相談所の紹介で、宍道と結婚します。
 彼女のぴんと外れは天然かな?
もし演技であったら超怖いです(^_^;)。
 人の良さに度が過ぎている気がしますが、
それがきっと彼女の人柄なんでしょう。
 一人暮らしが長かったので、こんな家族でも
家族ができたことの喜びが大きいのでしょう。
 この独特の間とか明るさが、実にうまく感じました。
待子は弱そうに見えて、この家族の中では一番強いのかもしれません。

 次女の清深(佐津川愛美)は、ねくらな性格で、
ホラー漫画の作家志望で、いつも漫画を書いています。
自分がしたことで姉を強く傷つけてしまったことに
後悔と反省をしています。
 そのため姉の陰湿ないじめも黙ってじっと耐えています。
しかし、ラストの復讐劇はみごとで、胸がすーとしました。
ある意味では、したたかさで強く、
その根性は姉に決して負けてはいません。

 澄伽は、女優になるためなら何でもやります。
その潔さは、ある意味では気持ちが良いが、
同級生を相手の美人局はいただけません。
それと執拗な妹へのいじめ、
兄の思いを逆手にとって、仕送りを迫るなど、
小悪魔的な振る舞いが多く、
彼女の存在によって、家族が崩壊をして行きます。
 

 

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