君のためなら千回でも

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 君のためなら千回でも h20.9.14 DVD

 「君のためなら千回でも」をDVDで見ました。
すばらしい作品で、真実のアフガンを伝えたものであるばかりでなく、
友情と罪、そしてその贖罪の物語でした。
朔的には☆は4つで、最高ランクの映画で、
何度も感動の涙がでて来ました。

 「君のためなら千回でも」どんな映画かと思っていましたが、
この言葉が実に効果的に使われていました。
この言葉が伏線となって、映画のラストを決めます(*^_^*)。

1970年代のアフガニスタン、カブールのにぎわい
たこ揚げをして無邪気に遊ぶ少年達、
でも、そこにも民族紛争の火種、差別といじめがありました。

 資産家の息子アミールとその家で働く召使いの息子ハッサンは
いつも一緒に遊ぶ親友、それは主従を超えた友情で、
特にハッサンはアミールを
絶対的に信頼し慕っています。

 ある日カブールで凧揚げ大会があり、
二人は協力をして優勝をするが、
最後に闘って勝った凧を
アミールのためにとりに行ったハッサンが、
不良グループの3人によって陵辱されます。

 それを見ているアミールは何もできません。
そのことに強い罪悪感を感じるが、
そのことをハッサンに謝る代わりに、
ハッサンを自分から遠ざけようとします。
そのための手段として、
ハッサンが自分の時計を盗んだとのぬれぎぬをきせます。
問いつめるアミールの父に、アミールの気持ちを読んだハッサンは
その罪を認め、父と共にアミールの家をでて行きます。

 そして、アフガンの内乱とソ連軍の侵攻。
命からがら、アミールは父と二人で、パキスタンへ逃げ、
アメリカへ亡命をします。
父はそこでガソリンスタンドを経営します。
また、アミールは大学を卒業し、妻をめとり、作家となります。
待望の自分の本が出版された時、
パキスタンにいる父の親友から電話があります。
「まだ、やり直すチャンスがあるので、こちらへ来るべきだ。」

 パキスタンについたアミールは、そこでショッキングな話を聞きます。
実はハッサンは、父が召使いの妻に産ませた、
腹違いの弟であること、そしてタリバンに殺されたこと。
その息子がアフガンの孤児院にいること。
彼は、ハッサンへの償いのため、
その子を助けて欲しいと頼みます。

 そして、車でアフガンへ。
そこでは、タリバンによる目を覆いたくなるような、
悲惨な現状が描かれていました。
危機一髪の中、なんとか息子をつれてアメリカへもどります。
でも、心に深き傷を負っているので、息子は心を開きません。
そこでアミールは息子のために、凧揚げをします。

 このことは、ハッサンの息子を通じて
ハッサンへ罪ほろぼしをしている気がしました。
ラストのシーンでハッサンの息子のために
凧をを取りに行くアミールが<君のためなら千回でも>と言います。

 一番の犯罪は盗むこと。
なぜなら、「人を殺すことは、その人の命を盗むこと……。」
「妻から夫を盗むこと」「子供から父を盗むこと」
そんな立派な父にも、<人のものを盗む>ことがあったとは皮肉です(^_^;)。

 ハッサンが無実の罪を認め、それをアミールの父が許すと言ったのに、
ハッサンの父は毅然と家を出ていきます。
それは、アミールの父が自分の妻にしたこと、
それに対しての屈辱があったからだと思います。
この家を出れば、一家が路頭に迷うことははっきりしていても、
プライドが許さなかったのでしょう。

<特典映像>から
 ハッサンが3人の少年から陵辱されるのは、
それはアフガンが他国から侵略されたことを意味し、
それを黙ってみていたアミールはアフガン人と同じで、
それを黙って許したことになる。
それを描くためのシーンで、相当にハードであった。
直接よりもハッサンの歩き方とか血でわかるのが痛々しい。
その息子がタリバンになった同じ人間に陵辱されているのだから、
たまらない気持ちになる。
 

 

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