(もがり)の森

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殯(もがり)の森 h20.9.21 DVD

 この映画は、2007年度カンヌ国際映画祭グランプリ
(審査員特別賞)を受賞した河瀬直美監督の作品です。

 私は死んだ人を忘れられない人が、森によって癒される映画だと、
その程度に思っていましたが、もっともっと深い映画でした(*^_^*)。
朔的には☆は3つですが、難しい映画でした(^_^;)。

 33年前に妻の真子を亡くし、
いまだにそれが受け入れられない認知症のしげきと、
子供を自分の責任で殺してしまったと
思い詰めている介護士の真千子。
この二人が死を受け容れ、癒されていく物語です。

 奈良県東部の山間地に、旧家を改装したグループホームがあります。
その老人施設の介護士真千子はある日、しげきと外出した時に、
車のトラブルにあい、ちょっと目を離した隙に、
しげきは森の中へ、どんどん入って行きます。
それを必死で追う真千子。
その森にはしげきの妻が土葬された場所で、
それを目ざして、何かに導かれるようにしげきは進みます。
そして、苦労の末、やっとそこにたどり着き、
そこでの不思議な体験から、
しげきと真千子は死を受け容れ癒されます。

 この映画を理解するには、「もがりとは?」を知り、
理解する必要があります。
そうでないと主人公のとった行動がよくわかりません。
彼の行動には「もがり」に沿った深い意味があります。

 “殯”という意味はこの映画の最後に明らかにされますが、
「喪も上がり」が転じた言葉で、忌明けを意味します。

 もっと詳しくはネットに次のようにありました。
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 殯(もがり)とは、日本の古代に行なわれていた葬儀儀礼で、
死者を本葬するまでのかなり長い期間、
棺に遺体を仮安置し、別れを惜しみ、死者の霊魂を畏れ、
かつ慰め、死者の復活を願いつつも
遺体の腐敗・白骨化などの物理的変化を確認することにより、
死者の最終的な「死」を確認すること。
その棺を安置する場所をも指すことがある。
****** 

 素人を使ったことで、素朴さと自然さはでていたかもしれませんが、
声がよく聞こえず、何をいっているのかよくわかりません。

 映画の最初に村の葬列があり、
それからこの地方では土葬が行われていることを暗示し、
「もがり」につながっていきます。

 僧侶が、施設の老人に、<生きていることとは?>の説教をしていました。
僧侶曰く、生きていると実感するのは二つあって、
一つはご飯を食べること、
二つ目は人とのつながりの中で生きる実感を感じるとのことでした。
なるほど、納得です(*^_^*)。

 また、その時しげきは、僧侶から33回忌は忌明けで、
仏様の世界にいって仏になることを知ります。
妻の死から今年が33年目にあたることから、
しげきは33年前に森に土葬をしていた妻の遺骨を、
掘り起こし、土に戻すつもりでした。

 施設の老人のつぶやき
<死んだらどうなる?>
<生まれる前はどこにいたの?>が深く心に浸みました。
 

 

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