おくりびと

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おくりびと 半田コロナ h20.9.15

 「おくりびと」を15日に半田コロナで見てきました。
朔的には☆は3つ半でお薦めです。
4年前に亡くなった母の葬儀には涙が一切出ませんでしたが、
この映画を見て、その時のいろいろな場面が思いだされ、
深く胸にしみ、涙が止まりませんでした。

 納棺師による納棺の儀式は母の時のことが今でも目に浮かびます。
湯かんして死装束に着替えさせる時、
肌を見せずによくやれるものだと思ったものです。
また死化粧もものすごくきれいで、まるで生きているようでした。
映画でも、<今までで一番きれいだった>という言葉がありましたが、
そんなことを思いだして見ていました。

 「様式美」洗練されて、伝統に裏打ちされたものは美しく、
能の舞いを見ているようでした。
それを美形の本木雅弘がやると、まさに芸術的な美しさですね(*^_^*)。

 チェロ奏者の大悟(本木雅弘)は、
東京の小さな交響楽団に所属していました。
しかし、客の入りが少なくて楽団はあえなく解散。
チェロの借金(1500万円)を抱えて途方にくれていましたが、
チェロをあきらめて、妻の美香(広末涼子)と、
一緒に山形の実家へ帰ることになります。

 そこには3年前に亡くなった母の家があり、
そこに落ち着くことになります。
父は大悟が子供の頃に、女を作って家を出て以来行方不明で、
彼は母の手一つで育てられ、父親を深く恨んでいます。

 山形で職を探していると、新聞にNKエージェントの求人があり、
そこには「旅のお手伝いをします。」とあり、
きっと旅行代理店の仕事だと思って会社に行くと、
社長の佐々木(山崎努)から、即採用、
その場で日当2万円を渡されます。
でも、その会社は「やすらかな旅立ちのお手伝いをする」
NK(納棺)エージョントで、仕事は納棺師の仕事でした。

 昔は納棺も各家庭でやっていましたが、
それがいつのまにか葬儀屋へ、
そして、葬儀屋から納棺師に、この仕事が移ってきました。
その死人を扱うイメージから人に嫌われるので、
妻にも内緒でしたが、仕事が軌道にのって、
この仕事でやっていけると思った時に、
妻にこの仕事がばれて、「私と仕事のどちらをとるの?」と
言い残し、実家に帰ってしまいます。

 また、幼なじみの友達からも、まともな仕事につけと、
つき合いを断られてしまいます。
深く傷つく大悟ですが、しくしくと仕事をやる中で、
人から感謝されることの喜びを知り、
納棺師がとてもやりがいのある仕事だと確信していきます。
そして、妻も夫の仕事ぶりを初めて見て、
感動をして、仕事の意味を理解し応援をしていきます。

 仕事柄いろいろな死が出てきます。
女だと思って納棺をしていたら、「ついていて」男であったり。
悲しいこと以上にいろいろなことで笑わせてもらいました。
暗くて悲しいことを、明るく朗らかに描いたことが成功をした思います。
この映画によって、
死は新しい旅立ちなんだと思えてくるから不思議です(*^_^*)。
(「また、会おうね、さよなら」とか「死は門をくぐること」など
素敵な言葉もありました。)
そして、それを手伝うのが納棺師であり、
なんともすばらしい仕事であると思います。

 でも、現実はそれに匹敵するくらいの、
誤解や迷信で嫌われている仕事でもあるんですね。
このことが、この映画によって解消されるといいんですが‥‥。

 この映画は、カナダの第32回モントリオール世界映画祭で、
最高賞のグランプリを受賞しました。
 

 

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