赤ひげ

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赤ひげ(1965) h21.5.4 DVD

 朔的には☆は3つ半です。

 ラジオ番組の映画紹介で、<赤ひげ>を絶賛していたので、
これはもう一度見なければと思って、DVDを借りて見ました。
この映画は中学3年生の時、映画館で見ました。
その時は、黒澤作品とも、これほどの名作とも気づかずに
偶然見た気がします。
ひょっとしたら、文部省特選なのに、
裸のシーンがあると、友達に聞いたからかもしれません(^^;)。

 内容はほとんど覚えてなかったので、とても新鮮でした。
黒澤作品はとにかくストーリーが面白く、
どのように展開していくのかわからないで、
画面にどんどん吸い込まれていきます。

 この映画は長い映画で、途中に<休憩>が入りましたが、
それでも一気に見てしまいました。
やはり、黒澤監督は観客の心をつかむことがうまいのでしょう。

 いつもながらの白黒画面ですが、
不思議と色がしっかりと頭の中に浮かびます。
白黒の良さを十分に活かし、江戸時代の庶民の、
それも最底辺の人々の暮らしぶりをうまく描いていました。

 そして何より三船敏郎の圧倒的な存在感、
寸部の隙もありません。
画面から受ける迫力はとにかく凄いと思います。
もちろん加山雄三も良かったのですが、それ以上に‥‥。

 <あらすじ>
 オランダ医学を学んで長崎から帰って来た
保本登(加山雄三)は、御殿医をめざしていましたが、
なぜか小石川養生所へ配置をされてしまします。
それが不満で一切のことをさぼり、
そこから追い出されることを願っています。

 しかし、所長の赤ひげこと新出去定(三船敏郎)と共に、
貧しい人々を治療していく内に、医者の心にめざめ、
良き医者として成長していく物語です。

 その目覚めのきっかけとなるのが、
この養生所に関わってくる人々のエピソードです。
<佐八とおなか><おとよと長次>の
話を入れていますが、山本周五郎らしい逸話です。

 所長の赤ひげは<病気の原因は貧困と無知>であり、
これを退治しなければだめだといいます。
その不可能を少しでも可能とするために、
貧しい者からは診察料をとらず、
自分の腕を見込んで診療を依頼する、
大名や大商人からは大金を取り、
時にはゆすりまがいのことをして、
そのお金を養生所の経費として使っていました。

 赤ひげは医術に長けて、医道に通じているばかりでなく、
腕っ節がめっぽう強くて、かつ清濁併せ持つ人物です。
そして頑固ですが、その頑固さには筋が通っています。

 医者の鑑といえば韓国ドラマの「ホジュン」を思い出しますが、
年代と洋の東西を問わず、色々な国に名医はいるものです。

 この養生所は現在の医者不足、過密労働の縮図のような場所、
経費削減をお上から言い渡され、
赤ひげは四苦八苦します。
でも、そこで働く医員の志は高く、
この厳しい中でも、赤ひげに付いて頑張っていけば
本物の医術を学べると考えています。
人を助ける、人のためになること、これが医術の本懐であることを、
改めて教えてくれる映画です。

 

 

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