歩いても 歩いても DVD h21.4
朔的には☆は3つ半でお薦めです。
お盆の帰省と家族の団らん、
昔はどこでも普通にあった風景です。
その風景を淡々と描いていますが、
それが深く心に響いてきます。
この題名<歩いても 歩いても>は
どんなに時代が変わっても、人間がやっていることは同じ
同じような事に悩み、同じような事を悲しみ、そして喜ぶ。
その繰り返しの中で受け継がれていくもの、
それが家族というものであると言っている気がします。
親戚という、うっとうしくて、ベタベタした関係、
たまに会った時の気詰まりな時間と気疲れ、
そんなことが嫌で、そうならないことを願い、
今日まできて、その願いがほぼ叶った、
今のあっさりとした関係に満足している私ですが、
でも、それとは裏腹にそんな濃密な関係も
どこかでうらやましく感じていることも事実です。
自分は長男で、亡くなった両親とは蒲郡と半田で
別々に暮らしていましたが、
月に2〜3度の行き来はしていたので、
私にはこの映画のような気遣いはなかったのですが、
でも家内にとっては、やはり気詰まりな気分になっていたのでしょう。
それは私が家内の実家に行った時のことを考えればわかります。
血がつながっていても、父と息子はなんとなく気詰まりで、
うち解けないもの。
まして、父親が頑固であればなおさらです。
私は父と話ができるようになったのは大学生になった頃からです。
何を考えているのかわからず、短気で怖いという印象の父でしたので、
それが、話せるようになったということは、
私の成長以上に、父が老いて丸くなったせいなのでしょう。
子供は親には見栄を張りたいもの、
いつまでも自分が立派になったと、嬉んでくれることを願っています。
主人公は昔から父との確執があり、
自分が失業中であることを隠していますが、
親子だからよけいに引け目は感じたくないという気持ちは、わかる気がします。
お盆に帰省した息子夫婦とその子供、
それを待つ実家の両親や姉の家族とのふれあいを
何気ない食事や団らんの中で表現をしています。
それぞれの家族には人に言えない深い悲しみがあり、
この家族には長男が人の子供を助けるために水死したことが、
大きな傷として今も残っています。
できの良い長男だったために、両親には強い悔いが残り、
機会ある事に、死んだ長男の話が。
良太にとって比較をされることはとてもつらく、嫌なことでした。
まして長男の死と自分が逃げたことで、
町医者である父の後を継ぐものがいなくなったことが、
大きなしこりとして残りした。
万事そつなく愛想良く振る舞える母(樹木希林)と、
頑固で人間関係が構築できない父(原田芳雄)との確執は、
年を経るごとに増すばかり、
ただ夫婦として一緒に住んでいるだけで、
喧嘩ばかりしている関係は、愛と言えるのか?
主人公の横山良多(阿部寛)は、
失業をしていること、妻が再婚で子連れであること、
父の後を継がなかったことに引け目を感じている。
また、連れ子である息子との意志の疎通が十分ではないことに悩んでいる。
姉役のyouと樹木希林が良い。
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