ベンジャミン・バトン

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ベンジャミン・バトン 数奇な人生 h21.2.8 半田コロナ

 ベンジャミン・バトンを半田コロナで見てきました。
朔的には☆は3つ半です。
2時間半という長い作品ですが、テンポが早く
ストーリーも面白かったので、飽きることなく
ラストまで見ることができました。
そして、見終わった後から
良さがにじみ出てくるような、深い味わいのある映画でした。


 80歳の老人で生まれ、だんだん若返り、
最後は赤ん坊になって死んでいく。
そんな、普通の人とは反対の時を歩むベンジャミン。
この不思議な現象が起こった理由は
冒頭のエピソードがそれを物語ります。

 ニューオリンズに住む、盲目の時計職人は、
人から時計作りの名人と言われていました。
その彼にニューオリンズ駅を飾る大時計が依頼されます。
日夜その時計作りに励んでいた時、
息子が第一次世界大戦に招集され戦死をします。
それをなげき悲しんだ彼は、大時計に自分の気持ちを込めました。
完成披露式にはルーズベルト大統領も来て、
華やかに行われましたが、
その時計は針が逆に回る時計でした。

 それはもし時が逆に動くなら、死んだ自分の息子や
戦死した多くの兵士も家族のもとに帰ってくるのではないか?
そんな願いをこめたものでした。
そして、彼はどこかへ消えて消息不明となります。

 1918年第一次世界大戦の終戦の日、
数奇な運命をもった男の子がバトン家に生まれます。
母は難産のために子供を産むと同時に死にますが
息を引き取る間際、この子の将来を夫に託します。
しかし夫は子供の顔を見た瞬間
80歳の老人の顔や姿に育てる自信をなくし、
老人施設の階段へ捨てます。

 それを拾ったのはそこで働く黒人夫婦で、
特に養母からは愛情を一杯受けて育てられます。
ベンジャミン(ブラッド・ピット)は普通の人と
逆の人生を歩みますが、
人と同じように経験、
いやそれ以上に豊かで数奇な体験をします。
 タグボートでの仕事、売春宿での初体験、
ロシアでの人妻との不倫、父親との再会
デイジィとの恋と結婚生活……。

 タイトル「ベンジャミン・バトン」について、
ベンジャミンは男の子の名前で、養母によって名付けられます。
また、バトン(BUTTON)は実の父親の名字で、
バトン家は代々ボタン工場を経営していて、
第一次世界大戦で大儲けをします。
ベンジャミンは父の死後、その後を継ぎます。
 
 ベンジャミンの恋人は
幼馴染みのデイジィ(ケイト・ブランシェット)で、
ベンジャミンが70代の老人、
デイジィが10代の少女の時に二人は出会いましたが、
ベンジャミンはそれが初恋であり、そのままずっと憧れの存在でした。
その後、いろいろなことを別々に経験し、
成長したふたりは、同じくらいの年齢の時に
再び出会い、恋をし結婚をします。
しかしそれはあまりにも短い時間でした。

 二人の間には女の子が生まれますが、
これから子供になっていくベンジャミンと
自分たちの子供の二人をデイジィが育てることはできないと
判断した二人は別れます。

 別れた後ベンジャミンは、父から受け継いだボタン工場を処分し、
全てのお金をデイジィに渡し、行く場所を知らせずに一人で旅にでます。
また、デイジィは彼女は娘を育てるために、
再婚をしてバレー教室を開きます。

 行方不明であった彼が、ある時その教室を訪ねて来ます。
10代の彼と50代の彼女、あまりにも違う容姿に戸惑いながらも
二人は今でも愛していることを確認し、
その夜、デイジィは彼と秘かに一夜を共にするためにホテルへ行きます。
そして、「終わった後」家に帰るために、
そそくさと身繕いをする彼女の老いた姿が悲しく、
二人の悲しみを象徴するような映像でした。

 フランスでデイジィが交通事故で足の骨を骨折します。
バレリーナとして大成をして、これから先を嘱望されていましたが、
その事故であきらめます。

 この事故が起こったのは、
いろいろなことの偶然の組合わせです。
一人の女性がアパートに忘れ物をして、
それを取り入ったことでタクシーに乗り遅れます。
そこから、時の歯車が少しずつ狂い、
彼女が事故に会います。
もし、その人が忘れ物をしなければ……。
でも、結果的にこの事故のおかげで二人は結ばれるのですから……(^o^)。
まさしく人生は奇跡ですね。

 人と逆に向かう人生、どんな気持ちなんでしょうか?
老いて生まれ、赤ん坊になって死んでいく。
でも、そのことを素直に受け入れ、その中で頑張っていくベンジャミン
その素直さから誰からも愛されていきます。
その人の良さ、柔軟性、それは養母の愛情のためなのでしょう。
 

 

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