チェンジリング

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チェンジリング h21.3.8 半田コロナ

 朔的には☆は4つです。
見終わった後、これは今年のベストスリーになるという予感がしました。
ただし、時間と共に映画の感動は薄れて行くし、
これから先もっと素晴らしい作品がたくさん出てくれば
どうなるかわかりませんが、
今の所、朔的には今年の一番です(*^_^*)。

 クリント・イーストウッド監督の作品ということと、
アカデミー賞の主演女優賞にアンジェリーナ・ジョリーが
ノミネートされたということからこの映画を見たいと思いました。

 とにかくすばらしい作品で、愛と感動と勇気、
そして希望がもらました。
映画のラストで、母親のクリスティンが
「これで希望ができた」と言いますが、
この言葉は非常に重く、そしてすばらしい言葉だと思います。

 今後の彼女の人生を考えると、暗澹たる気持ちになりますが、
この言葉が唯一の救いです。
人が悲しみの中で生きていくためには、希望が必要で、
わずかの希望さえあれば人は生きていけます。

 冒頭の「これは真実の話である」との字幕の表示、
これによってこの映画の重さ、深さが増しました。
人は本当にあった話に弱いものです(^_^;)。

 イーストウッド監督は力量を十分に発揮し、
2時間20分とわりと長い映画でしたが、
展開の速さ、ストーリーの面白さ、緻密な演出、
役者のうまさで、一度も飽きることなく、作品に集中できました。

 特にアンジェリーナ・ジョリーは最高の演技で、
さすが主演女優賞にノミネートされただけのことはあります。
彼女の肉体を武器とせずに、女の弱さと、子供を守る母の強さ
権力に一人で立ち向かう恐怖と勇気を見事に演じ、
演技派として開眼しました。

 1928年のロサンゼルス。
警察の腐敗堕落は極限に達し、
警官による、汚職、わいろ、脅迫、暴力は日常化していました。
その悪の根元は、市長と市長に任命された警察本部長、
その部下である警部でした。

 腕の良い電話交換手のクリスティン
(アンジェリーナ・ジョリー)は、シングルマザーで
一人息子のウォルターと平穏で幸せな日々をおくっていました。
ある休日急な仕事で一日留守にした時、
ウォルターがいなくなります。

 必死で探すが見つからないので、
警察に電話をしますが、「24時間以内は捜査をしない」との冷たい返事。
そして、それ以後も捜査をする気配もなく、5ヶ月が過ぎました。
そんなある日、ロサンゼルスから遠く離れた場所で
ウォルターと似た少年が保護されます。

 でも、この少年は本物のウォルターではなく、
警察によって仕組まれた偽の少年でした。
 孤児で身寄りがない少年は、
警察から本人になるすますように言いくるめられていました。
この頃の警察の評判の悪さを、
この美談によって良い方向に持っていこうとの策略でした。

 会った瞬間から自分の子供ではないとわかった彼女は
その証拠を集めて、警部に訴えますが、
都合の悪い警部は頭がおかしくなったためと、
強制的に彼女を精神病院に入れてしまいます。

 そうこうしている内に、連続少年殺人事件の犯人が逮捕されます。
20人もの少年を誘拐し、ほとんどの少年を殺しますが、
中には逃げた少年もいたことがわかります。
そして、その中にウォルターがいたことがわかり、
これをきっかけに、牧師を中心にした市民グループによって、
警察の不正があばかれ、裁判と公聴会によって、警察の不正は正されます。

 クリントイーストウッド監督作品には、
<正義>ということをテーマにしたものが多い気がします。
正義とは何か?をいろいろなシチュエーションで描き、
問いかけています。
ただ、共通しているのは、権力側ではなくて、
庶民の側にたった目線で、そのことを見ている事です。

 それにしても、ロサンジェルス市警の腐敗ぶりは異常ですね。
悪を取り締まる警察が、そんな集合であると
何を信じて良いかわからなくなります。

 警察権力は強大なもの、それに翻弄される母親
それに立ち向かっていけたのは、自分の子供への強い愛情です。
まさしく、「女は弱し、されど母は強し」ですね(^_^;)
 

 

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