どですかでん

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どですかでん(1970) h21.5.9DVD

 朔的には、☆は3つです。

 正直言って何が言いたいのか?よくわかりませんでした。
でも、ストーリーは面白かったです(*^_^*)。
そして、何よりもなつかしい役者のオンパレードで、
その顔から名前をしぼりだしながら見るのは楽しいことです。
少し前に見た<赤ひげ>の中で長次役の子役(頭師佳孝)が
もの凄くうまいと思っていましたが、
その子が年を経て今回の主役となっていました。

 この作品は、赤ひげと同じく山本周五郎の原作です。
赤ひげが江戸時代の庶民、
それも貧しい底辺の人々の暮らしを描いていましたが、
この作品は戦後まもなくの日本が、
そろそろ落ち着き、庶民の生活にも少しはゆとりが出てきた頃、
まだバラックの住宅で暮らしている、貧しい人々の姿を描いています。

 そこに住む人々は、それぞれに問題を抱えていますが、
たくましく、したたかに生きています。
決して褒められた生き方ではありませんが、
生きるために精いっぱい頑張っています。

 この映画多くの人々の生活にスポットライトをあてたため、
総花的になり、焦点が定まらず、
薄い感じの作品となってしまった気がします。
おそらく小説はもう少し深く掘り下げているのでしょうが、
なにしろ映画には時間がないので、
多くを語れば、その分一つ一つは薄くなるのは
当然と言えば当然ですね(*^_^*)。

 それに対して「赤ひげ」の方は、主人公がしっかりと描かれていて、
その中に3〜4のエピソードを入れたので、
成功をしたのだと思います。
しかし今回は柱がない上に、多くのものを入れたので、
焦点の定まらないものとなってしまいました。

「どですかでん」とは
近所の子供から「電車ばか」と言われている、
<六ちゃん>(精薄児)が見えない電車の運転手となって
「どですかでん どですかでん」と言って
毎日毎日自分の家の周りを走っています。

 <六ちゃん>は総菜屋を営む母との二人暮らしをしています。
母親はこの子を悲観して必死で仏壇に祈っていますが、
本人は全く意に介せずに、それどころか母親のことを心配しています(*^_^*)。

 彼が住む町、見えない電車で走り回る町には、
<六ちゃん>と同じような変わった人間が住んでいます。
夢(家を建てる)ばかり語る乞食の父子、
妻の浮気が許せずに、心を閉ざして一人暮らす男、
妻の姪を妊娠させる飲んだくれの男。
妻を公然と交換するとび職の男達、
泥棒にお金を渡す大家さん等々……。

 黒澤作品だから、きっと私にはわからない何か深いもの
言いたいことがあるのでしょうが、私には残念ながらわかりません。
作品が興行的にも失敗したといわれますが、
それも理解できる気がします。
あきらかに、赤ひげなどの作品と比べると質が落ちています。
 

 

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