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GOEMON h21.5.10.半田コロナ

 朔的には☆は3つ半で、お薦めです。
今年になって見た邦画の中では一番です(*^_^*)。
とにかく文句なしに面白い映画で、圧倒的な迫力のため、
最初から最後までほとんど緊張していました。

 監督はあの宇多田ひかるの元旦那、紀里谷(キリヤ)和明氏、
さすがに時代を先取りする才能に溢れ、
彼女もきっとそんな所に惹かれたのでしょう(*^_^*)?

 私は日本史が好きですが、
その中でも一番魅力的でワクワクする時代は、戦国時代です。
それも信長、秀吉、家康が活躍した、天下統一の頃です。

 その時代に実在した石川五右衛門という
謎に充ちた盗賊にスポットをあて、新しい歴史解釈をして、
信長、秀吉、家康に関わる人間関係を再構築しています。
それを斬新で面白く、さらに緻密に作っていく手法には才能を感じました。

 CGを多用し圧倒的に迫力ある画像を作りだしていますが、
ここまで日本のCGも進歩したかと目を見張るばかりです。
それは、まるでPCのゲームをやっているような迫力、
中国映画のワイヤーアクションどころの騒ぎではなく、
どこまでが実写で、どこまでがCGなのか分かりません(*^_^*)。

 歴史的な事実(例えば、信長や秀吉の死)があるから、
それを覆すことはできませんが、
その中で新しい解釈や仮説を立てて、歴史ドラマを作っています。

 石川五右衛門という人物は、天下の大泥棒で
秀吉によって釜ゆでの刑に処せられたことは、あまりにも有名です。
しかし、その人物像は歌舞伎や小説の影響があってのこと、
本当のことははっきり言ってわからない謎の人物です。

 諸説がありますが、伊賀の忍者崩れとも、
秀吉の命をねらったとも言われています。
また、義賊と言われたのは、庶民からとらずに
大名からとったので、苦しい生活をおくっていた庶民や、
不満のたまった庶民からみれば英雄に思えたのでしょう。
実際に貧しい庶民に施しをしたかどうかは分かりません…。
これらの情報をとりまとめて、ここでは新しい五右衛門像を作っています。

 『本能寺の変』
 実はこれは秀吉と光秀が仕組んだもの、
その証拠として、明智光秀と羽柴秀吉の連判状があるという、
新説(仮説)によって、この映画はできています。

 この陰謀説の真贋は別にして、
秀吉が信長の死を事前に知っていたのでは……?、
それがなければとてもあの中国大返しはできず
光秀を討つことはできなかったはずであるとよく言われています。
だから、この説は全くのでたらめとも言えません(^^;)。

 <ストーリー>
 豊臣政権が安定し、秀吉がまだ元気であった頃。
 五奉行の一人、石田三成は明智光秀に加担したという疑いで、
紀伊国屋文左衛門を逮捕しにいきます。
しかし、その目的はその屋敷内に隠してある
南蛮製の箱を探すためでした。

 その箱には、本能寺の変での光秀と秀吉の
連判状の隠し場所を記したものが入っています。
しかしその箱は、間一髪
紀伊国屋に忍び込んでいた五右衛門によって、盗まれていました。
そのため、その連判状がどうしても欲しい、
三成と家康の双方から、命をねらわれることになります。

 髷、衣装、風俗、建物、そして言葉が現代風に置き換えられています。
大阪城や軍隊はまるでスターウォーズのようです(*^_^*)。
それがものすごく新鮮で鮮やかなもので、
ワクワクさせてくれました。

 ストーリーの面白さ、その展開の早さ、
そしてどのように展開していくかは
歴史的な常識をどんどん打ち消して行くので、全く予想ができません(*^_^*)。

 歴史ドラマだと思うと腹が立ち、
納得できないという人もいると思いますが、
この映画は歴史を借りたフィクションだと割り切れば、
何でもありの楽しい映画です。

 五右衛門がなぜ秀吉の首をねらったのか?
それをこの映画では全く新しい解釈をしています。
とある城主の嫡男であった五右衛門が、
落城のため父と母を亡くし、侍女と落ち延びた後、
あわやという所を信長に助けられ、
信長の命により、服部半蔵に忍者として霧隠才蔵と共に鍛えられます。
一人前の忍者となって五右衛門は、茶々(淀君)のボデーガードとなります。

 この映画に出てくる猿飛佐助も霧隠才蔵も実在の人物かどうかわかりません。
小説やコミックの世界の人物と見るのが正しいと思いますが、
実在の人物の中に、混ざってくると
実際にいた人物のような錯覚を覚えるから不思議です(*^_^*)。

 展開の早さも良いですね、朝鮮出兵や秀吉の死を
一気に超えて関ヶ原の戦いへと進んでいきます。
その戦いで五右衛門は才蔵の仇三成を切り、
(これは史実と明らかに違いますね(^^;))
家康にはこの戦いで最後にするように誓わせます。
(これはなかなかスケールの大きい仮説です)


 この映画の製作について、ネットに詳しく書いてあり、
この映画のことをよく知るためには参考になると思いますので、
そのまま載せておきます。

ネットより********

 前作『CASSHERN』製作時から構想されながらも、
当時の技術では作品のスケールを具現化するには、
あまりに届かないところにありすぎたため、
2年のリサーチとシステム構築の末、
ようやく2007年に製作がスタートした本作。

 プリプロ、撮影、編集、ポスプロ、延べ制作日数に
3年の時間が費やされた本作は、セット数100、CGカット数2500、
エキストラ1000人、総スタッフ数300人という超大作。

 誰もが知っている戦国時代を背景としながらも、
新解釈を施したストーリー構成。
これまでの既成概念を跡形もなく破壊する美術と衣装の数々。
役者に6ヶ月のトレーニングを強いた息もつかせぬアクションシーン。
デジタル技術を極限まで駆使した圧倒的な映像美。
どれをとっても、これまでとは別次元のエンターテイメント世界が
この映画の中で繰り広げられている。(作品資料より)
*************」
 

 

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