ジェネラル・ルージュの凱旋

映画の目次へ 

 

ジェネラル・ルージュの凱旋 h21.3.14 半田コロナ

 朔的には☆は3つ半、とにかく面白い映画でお薦めです(*^_^*)。

 東城大学付属病院の救急救命センター長の速水(堺雅人)と
医療メーカーとの癒着を告発する文書が
院内倫理委員長の田口(竹内結子)と厚生労働省の役人
白鳥(阿部寛)のところに届きます。
速水はジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)の異名を取る
やり手の医師、果たして真相は?
その真相を探るのは、チームバチスタ事件を解決した
田口と白鳥の名コンビ、今回はどうなるか?

 この映画日本における救急救命の実状を描いています。
受入れ先がなくて、妊婦がたらい回しにされたあげく死亡する事件など、
最近の医療現場には問題がたくさんあります。
そこには、医者の激務や訴訟リスクから、医者の偏りがあり、
それによる疲労からの医療ミスと悪循環が続いています。

 そんな現代の医療が抱えていることや、
病院の経営の問題点、
多額の設備費がかかる救急救命をいやがり、
内科など設備がかからず、薬によって医療費を
稼いでいくことに汲々とする大病院の
実態も明らかにされています。

 「トリアージ」
大事故や大災害の時、その患者の様態の緊急度に応じて
赤、黄色、緑、そして黒のタグをつける作業のこと。
(黒は死亡とか、治療ができない状態の患者)

 このトリアージも今話題のものですが、
この映画のメインとして描かれていました。
この判断はものすごくむつかしく、どのようにしても
それに対する家族や親族の不満は大きいものです。
しかし、全体を見て冷静な判断の上にやる「神の業」のような判断。
うらまれることを覚悟の上のものすごく厳しく辛い仕事です。
でもそれを誰かがやらなければ、多くの命を助けることはできません。

 もちろん、すべての人を助けることが理想ですが、
それができない時は、より多くの人を助けることが必要
全体のために…。

 これは、WBCの原監督の立場に通じるものがあると思いました。
選手の好不調やその場の状況を考え、選手を起用しなければなりません。
韓国との決勝では抑えのエース藤川を使わずに、ダルビッシュを使いました。
それによって藤川には恨まれることになるかもしれないし、
失敗すればなんといわれるかわかりません。
でもチームの勝利を信じ、自分を信じて、判断をしました。

 ジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)の
真の意味がラストで明かされます。
なりふりかまわずに、血まみれになって
救急患者に立ち向かい、先頭に立って戦う医者ということではなくて、
かつて大事故に際して、恐怖で真っ青になり、血の気のなくなった唇に
看護師長がルージュを塗ったことからだとわかります。
それは看護師長のしっかりしてくださいとの意味を込めたものでした。
この映画は、救急センター長の速水と看護師長との愛の物語でもあります。

 阿部寛の存在感は大きいですね、
彼の登場によってこの映画一気に盛り上がり、
面白さが加速しました。
そして、前回同様真面目でのろまな竹内結子との凸凹コンビが面白かったです。
そして、今回は何と言っても、血まみれ将軍とは真逆にある
堺雅人の爽やかさが際だっていました(*^_^*)。
 

 

上に戻る