影武者

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影武者(1980) DVD h21.5

 戦国時代、信長が最も恐れた武将は甲斐の武田信玄。
天下布武の元、信長が天下をまとめだした頃、
満を持して信玄が京に向けて動きだします。

 まずは、三方ヶ原の戦いで家康を完膚無きまでに破り、
その勢いは信長をも飲み込んでいくという時、
突然武田軍は戦わずして甲斐へと帰って行きます。

 信玄の遺訓「死して3年は死をふせよ」
これがこの映画のテーマになっています。
しかし、今ほどに情報化されてはいないとは言え、
やはり信玄ほどの武将となれば、本物か偽物かの区別は
時間と共にわかっていくものです。

 「風林火山」の旗印は信玄のトレードマークですが、
映画<レッドクリフ>にも出てきました。
この「風林火山」とは、孫子の兵法が出典ですから、
当たり前といえば当たり前ですね。

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<風林火山の由来>
「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」の句は
『孫子』・軍争篇で軍隊の進退について書かれたものです。
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 影武者(仲代達也)は盗賊で、
磔になる所を救われて影武者に抜擢されます。
そして、だんだんとほんものの信玄らしくなって行く所が見所です。

 最初は仲代達也の役を勝新太郎が、
山崎努の役を若山富三郎がやる予定であったそうです。
勝は黒澤とのトラブルで早々に降板しますが、
その降板の理由は、「撮影したフィルムを貸してほしい、
それで演技の研究をしたいから」と言った勝に対して、
黒澤監督が「監督は二人はいらない」と突っぱねたからだそうです。

 また、若山は勝と黒澤のトラブルを予想して最初から辞退したそうです。
もし、この二人でこの映画が実現していたら
もっと面白い映画となっていたと思います(*^_^*)。

<あらすじ>
 武田信玄(50歳)は、満を持して京へ上ります。
最初は家康と三方ヶ原で戦い勝利を治めますが、
その後の戦いで、鉄砲に打たれて死にますが、
それを隠すために影武者が起用されます。

 信長と家康は間者を使い、必死で信玄の死を確かめますが、
影武者の存在によって、それができません。

 「山は動かないから山」です。
 自分の死を隠して3年の間に国を固めることができれば、
若き勝頼にも勝機があると考えました。
しかし、若くて野心家の勝頼は、
自分を抑えることができませんでした。
それは、信玄への競争心と、
家臣から侮られたくないという気持ちからでした。
そんな勝頼をショーケンがうまく演じていました。

 映画のラストは「長篠の戦い」、
これは信長と家康の連合軍に
武田の当時最強と言われていた騎馬軍団が挑んだ戦いです。
そして、鉄砲の威力を世に示し、
これから先の戦いを変えて行った戦でもあります。

 刀や槍に比べて火縄銃の威力は絶大ですが、欠点もあります。
それは、打つのに時間がかかることで、
それを補うため、3段に分けて鉄砲を撃つ戦法を信長は考え、
これによって武田の騎馬軍団は全滅します。

 この騎馬軍団が敗れていくシーンを、
武田の重臣達の驚きの表情だけで描いたのは、さすがと思いましたが、
その後に、馬が倒れて死んでいくシーンが延々とあり、
その光景は、残酷で目を覆いたくなりました。
これは、なくても良いシーンだと私は思います。

 この映画は、カンヌ映画祭のグランプリの作品ですが、
朔的には☆は3つです。
 

 

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