人生に乾杯!

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人生に乾杯! h21.7.4 名演小劇場

 朔的には☆は3つ半でお薦めです。
ほろっとさせて、ラストであっと言わせる、
痛快な映画でした(*^_^*)。

 老人、年金、銀行強盗、逃避行とくれば暗い映画が予想されますが、
この映画はそんなことはなく、ユーモアタップリに
明るく描いていました。
笑いあり、涙あり、感動ありです(*^_^*)。

 主演の夫婦とも、自然な演技でうまい役者さんだと思いましたが、
特に奥さん役の方はうまかったと思います。
冒頭の二人の出会いのシーン、その意味が後でわかってきますが、
ハンガリーの暗い過去とダブりますね。
彼女は一体何から逃げていたのでしょうか?

 ハンガリーのことはほとんど知りませんが、
首都がブダベストで、第2次世界大戦後、
ソ連の勢力下に入り、東欧の共産主義の国家であったことくらいです。
その時代は共産党の一党独裁であり、秘密警察が横行して
個人の秘密とか自由が極端に制限をされていたことでしょう。

 そして、自由と独立をめざしてハンガリー動乱(1956年)がありましたが、
当時のソ連の圧倒的な力によって鎮圧をされました。
そして、この夫婦の出会った頃はこのハンガリー動乱の時代です。

 ベルリンの壁が崩壊し、自由と独立が叶った後
どうなったかは情報がほとんどないので、わかりませんが、
チェコとかユーゴと違って、一国でまとまっているのは幸いですね。

 年金だけで暮らしている老夫婦(夫エミル81歳、妻へディ70歳)は、
それだけでは生活ができず、最後の砦と思っていた
思い出のダイヤのイヤリングも借金のかたに取られてしまいます。
これではいかんと、エミルは老体に鞭を打って郵便局に強盗に入ります。

 強盗と言えども、二人の事情そして、
誰も傷つけていないことを考えると許されるのかな(*^_^*)?
彼らの行動によって、年寄りの意見が聞かれ、
生活向上にもなりました(*^_^*)……。
でも、二人の犯行の動機は、年金だけではない、
もっと深いものがあった気がします。

 二人には事故でなくなった息子がいましたが、
その墓に逃避行の最後に行きます。
何か意味があるのでしょう。
そしてラストで、やり残したことはないか?との夫の問いに、
妻は「海が見たかった」と答えます。
きっと今の二人は、海の見える別荘地で余生を楽しんでいることでしょう。

 社会主義、欧州とくれば、老後は福祉で満たされている
イメージがありますが、この映画のハンガリーのように、
老人が辛い目にあっているのは、国そのものが貧しく、
体制も崩壊をしてしまったからでしょう。

 そして、逃避行によって、老夫婦は二人が若かった頃の
輝きを取り戻していきます。
 

 

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