火天の城 h21.9.23 半田コロナ
朔的には☆は3つ半でお薦めです(*^_^*)。
1576年、信長は今の滋賀県安土町に安土城を建てることを決意します。
この地が日本の中心に位置し、
ここに壮大な城を建て、日本全土の統治をするつもりでした。
その城は五層七階で、かつてない天主を有するものあり、
この壮大な建造物に、信長の命を受けて挑んだのが、
熱田の宮番匠・岡部又右衛門(西田敏行)でした。
*****<番匠>とは
奈良時代から平安時代にかけて
建築工事における工匠の長を『番匠』と呼んでいました。
今で言う腕の良い工務店とか建設会社ですね。
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宮番匠とは、宮大工の棟梁のことです。
宮大工は神社仏閣の建築を行う大工のことで、
その規模の大きさ、細工の細かさなどから
一般の大工に比べて、高度な技術が必要なスペシャリストでした。
彼が映画の中で言った
「南側で育った木は、建物の南側で使え。」は、
宮大工が木のスペシャリストであることの証拠です。
信長の命で引き受けたものの、
安土城は簡単なものではなく、想像を絶する苦労が待っていました。
しかも3年以内に建てねば殺されます(*^_^*)。
この映画、城を建てるだけでなく、
それに関わる人々の、人間ドラマに仕上げたことが
朔的には良かったと思います。
もっともそれによって、
ちょっとそれはという所もいくつかありましたが……(^_^;)。
まあ、娯楽映画ですから、それも仕方のないことでしょう。
大竹しのぶが良いですね(*^_^*)。
もともと私の大好きな女優であり、演技力には定評がありますが、
今回はまさにツボにはまってしまって泣けました。
(私は彼女に可愛らしさと芯の強さ、ほんのりとした色気を感じます)
「女はどんな時も笑みを絶やすな」
この亡き父からの教えを頑なに守る妻の田鶴(大竹しのぶ)、
ある日、人を束ねることの難しさに悩む又右衛門は、
お前はいつも笑っているだけでいいなと怒る、
それに対して、「悲しみを隠して笑顔がある」
「笑顔の裏にある悲しみを理解できない人に
人を束ねることはできない」と、
いつも寡黙で夫に口答えすることなく、
ひたすら尽くす女であった田鶴が反発をします。
それを聞いて又右衛門は、妻の思いを理解します。
(朔的には、何を今頃とつっこみを入れましたが……(^_^;))
人を思いやる気持ち、人の気持ちがわかってこそ、人を動かすことができる。
これがこの映画のテーマです。
「木の気持ちが分かってこそ木組みができる」
「人の気持ちがわかってこそ、人を束ねることができる」
それから、木曽の杣(そま)衆([きこり]のこと)
を演じた緒形直人も良かったです。
人はなぜ動くのか?
損得を離れて、人の意地、プライドがそうさせます。
そんな気持ちにさせたのが岡部又右衛門であり、
彼は又右衛門に惚れます。
この作品の原作は、第11回松本清張賞を受賞した
山本兼一の同名小説です。
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