沈まぬ太陽

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沈まぬ太陽 h21.11.1 半田コロナ

 朔的には☆は4つ、
おそらく私にとっての、今年の邦画bPになるでしょう(^o^)。

 原作は山崎豊子の同名小説で、
累計700万部を超える大ベストセラーとか、
大長編ですが、読まなくても映画だけで十分内容がわかりました。
(私も原作は読んでいません)

 3時間の長編ということで、
丁度半分の時に10分の休憩がありましたが、
こんなこと初めての経験です(^_^;)。
でも、長いとは一度も思いませんでした。
それはストーリーが面白いことと、
渡辺謙、三浦友和などの俳優陣のうまさのためです。

 昭和30年代、国民航空の労働組合の委員長である恩地(渡辺謙)は
乗客の安全のため、従業員の待遇改善を要求し、
ストライキも辞さない、
断固とした態度で経営側と渡り合い、勝利を得ます。

 しかし、しばらくして恩地はその報復人事のために、
通常は2年で帰れる海外勤務を転々と渡り歩いて、
10年にもわたって続けさせられます。
また、他の組合のメンバーも会社からひどい扱いを受けます。
 
 しかし、副委員長の行天(三浦友和)は
経営側に寝返り、御用組合をつくり出世をしていきます。
そんな時、群馬県の御巣鷹山に国民航空のジャンボ機が墜落し、
520人もの人命が失われるという大事故が起きます。
その事故の対応に追わる、
国民航空は未曾有の危機にさらされます。

 そこで政府は国民航空の改革のために
新しい会長として国見(石坂浩二)を迎えます。
そして、国見は自分のめざす改革のための切り札として、
恩地を会長室付けとして迎え、
乗客の安全を第1と考える会社への改革に乗り出します。

 この映画から、いろいろなことを考えさせられました。
 @ 恩地は自分の意地で、詫び状を拒否し、海外赴任を繰り返しますが、
  それによって家族は大迷惑を被ります。
   それは許されることなのか?結局この家族は良い家族だったので、
  最後にはみんな理解をしてくれますが、現実は
  どこの家族でもでもこのようにうまくいくものではないと思います。

A 報復人事は当然のことで、それが世の中です。
  それを覚悟して経営側に楯を突くことが必要で、それを「会社のため」にしたと  考えている恩地は甘い。
現実は<労使の戦い>といっても、組合の幹部がいつかは
管理職となって、立場が逆転する。その途中経過としての組合の委員長であると、
みんなが思い、恩地もおそらくそう思っていたと思う。
それが恩地の甘さである。
東大法学部卒という学歴とプライド、会社のために組合をやってきたという自負、
正しいこと正義を自分はしている、だから必ずわかってくれるということ。
だから、いつかは自分を本社に戻してくれる、
そういう甘えが会社とか、上司に対してある。

B <人名の重さ>
偶然飛行に乗ったことで死ぬという理不尽
これは恩地の受けた不当な人事の理不尽をはるかに超えるもの。
 飛行機だけでなく、車の事故、殺人でも、
今は理不尽なことで人は死ぬ。
その家族の辛さは……。恩地の比ではない。
 それは別にして恩地の人事は不当だったのか?
では働く意味とは?
それは出世のためか?それが最後にはわかった。

C 行天は走り続けること、それによって出世する。
そのことが最終目的になっている。
そのはかなさ。
清濁併せ持つことは大事、しかし、どんどん悪事に手を染め
それがエスカレートし、悪いとは思わないように麻痺をしていく。
上にゴマを摺ることでしか出世をするしか知らない男の哀しさ

E政治家の身勝手さ。
 都合が悪くなると、自分の都合で国見を変える。
日本郵政の西川社長のことを思いだした。
 

 

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