必死剣鳥刺し h22.7.24 半田コロナ
朔的には☆は3つ半(70点)でお薦めです。
「とりさし」と聞いて、
「鳥のさしみ」と思ってしまうバカな男です(^^;)。
題名の鳥刺しとは、木の上にいる鳥を
長い竹の棒を使って刺して取ることから
編み出された必死剣のことですが、
なぜこれを「必死剣」というのかは
映画のラストでわかります(*^_^*)。
東北の小藩海坂藩を舞台とする、藤沢周平の小説が原作です。
武士道とは忠義。
どんな馬鹿殿であっても、臣たる者は忠義を尽くす。
そのありさまは今の時代から見るとばかばかしいものであっても、
その時代では唯一絶対の価値観でした。
まあ、これも迷いがないといえば言えることで、
ある意味では楽であるかもしれません(>_<)。
また、いつの時代でもそんな馬鹿殿を利用して、
自分の権勢を伸ばそうと画策する輩はいるもので、
それに翻弄される下級武士はたまったものではありません。
海坂藩物頭の兼見(豊川悦治)は、30石取りの下級武士。
最愛の妻と質素であるが幸せに暮らしていました。
しかし、その妻を病気で亡くしてからは、
生きる意味をなくし、自分の死場所を求めて、
失政の元凶である殿の側室を殺します。
これほどの大罪を犯したなら死罪は間違いないと覚悟していたのに、
意に反して寛大な処置が下りますが、そこには多いなる秘密がありました。
兼見は一年の閉門謹慎となりますが、この映画から
謹慎という事の本来の意味を思い出させてくれました。
今では謹慎という言葉を軽く使っていますが、
本来の謹慎はこの映画のように、
土蔵に入り人との接触を断ち、土蔵以外へは一切でない事です。
テーマは「愛」。
最愛の妻との別れ、
兼見は妻が死んでも忘れられず、生きる意欲さえなくしてしまいます。
このことから、これほどの素敵な妻、最愛の妻を持つことが
本当に幸せなことか?と考えさせられてしまいます。
愛する人を亡くしても人は生きて行かなければなりません。
だからこれほど後に引きずることは困ったことです(>_<)。
まあ、その点私は幸せものです(*^_^*)。
一般的に夫婦の愛は普通は長かずいつか空気のようになるものです。
自分を慕って献身的に尽くしてくれる妻の姪「睦江」、
兼見はそれに気づいてはいても、彼女を不幸にすると避けています。
それが大人の恋、でも結局は二人は結ばれますが、
それで良かったと私は思います。
「いつか迎えに行く」という言葉を残して、二人は離れて暮らします。
この言葉は実現されないけど、
ラストシーンは、二人の赤ちゃんのあどけない笑顔で救われます。
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