雷桜 h22.11.2 半田コロナ
朔的には☆は3つ半(70点)で、お薦めです。
蒼井優が実にうまい。
男言葉を本来の声質まで変えて演じていましたが、
それが自然に感じられたのは、彼女の演技力の賜だと思います。
<フラガール>や<竜馬伝のお元>のように
どちらかというと女性らしい女性を演じてきました。
丸い童顔の中に、そこはかとした色気があり、
私の好きな女優の一人です。
今回は男っぽい役柄でしたが、それでも独特の色気ありました。
江戸時代のように、身分違いで添えないということは、
今ではほとんどありませんが、
それでもすべてなくなったわけではないと思います。
ただそれは世間よりも自分で作ってしまっている気がします。
<不釣り合いは不仲の元>といいますが、
人とつき合う時に、自然とその人との釣り合いを、
考えてしまっている気がします。
その気後れが誰に対しても自由に振る舞うことのできない
障壁となっています。
私は妥協主義者ですから、もしお殿様と町娘の恋が、
身分違いで添えないというなら、
側室になればと考えてしまいますが、
この考え方は不純ですよね(^_^;)。
将軍家の御曹司で、後に紀州徳川家の藩主になる斉道と、
江戸から遠く離れた山奥に住む娘とが知り合う接点は
どう考えてもないのに、
その接点を実に巧み、それも自然に作られていく、
見事さに関心をしました。
いくら映画と言っても、ある程度のリアリティとか
ほんとうらしさがほしいですからね。
斉道は、心の病(晩年は将軍に相手にされずに
失意の中で死んで行った母の影響か?)で乱心ぎみ。
このままでは立派な藩主になれないと案じた家老の薦めで
お側に使える家臣の故郷、瀬田村へ療養にでかけます。
その山の中で偶然遊(蒼井優)と知り合います。
自然児である遊の自由でおおらかな心に惹かれて、
二人はいつしか恋に落ちます。
遊は実は瀬田村の庄屋の娘で、隣の藩との水争いに巻き込まれ
赤子の時にさらわれ殺される運命でした。
さらったのは隣の藩の武士で、
遊を殺すことを厳命されていましたが、
あることがきっかけとなり、
それを破り脱藩して、遊と山で暮らしていました。
<雷桜>とは、雷が銀杏の木に落ち、その折れた銀杏から
生えた見事な桜のことです。
それは目撃した武士に遊を殺さずに、
一緒に生きることを決意させます。
結ばれないさだめの二人、さだめに逆らえば
何人もの命が失われます。
それを考えた斉道の行動は賢明な判断だったと思います。
17年後、紀州藩主として寂しく死んでいく斉道、
でも側に女性の姿はありません。
そこには斉道の17年間が見えます。
長い年月の間中、遊と別れたことをどれほど後悔したことでしょう。
でも、もし一緒になっていたとすれば、
そちらも大きな後悔があったことでしょう(^_^;)。
それに対して遊は山で炭を焼き、斉道の子供と暮らしています。
これを見て、女性は子供によって生かされる
強い存在であることを改めて知ります。(*^_^*)。
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