信さん・炭坑町のセレナーデ

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信さん・炭坑町のセレナーデ h22.12.4 名演小劇場

☆は3つ(60点)

 1963年、福岡県のとある炭坑の島に
この町で生まれ育った美智代(小雪)が、
小学生の息子(守)を連れて帰ってきます。
それは夫の浮気が原因で離婚したためでした。
そしてこの町で、洋服の仕立屋を開き落ち着きます。

 都会育ちの転校生である守が、
同級生にいじめられている所を信一に助けられます。
これが美智代と信一との出会いでした。

 信一は親なし子で、死んだ父親の弟夫婦に貰われ育てられていました。
いたずら好きな悪ガキでしたが義に篤く、
子供たちからリーダーとして信頼され、
「信さん」と呼ばれて愛されていました。
そして、守は信さんの仲間に入ります。

 美しい美智代は信さんにとって憧れであり、
初恋の人となります。
きっと彼女に優しい母を重ねていたのでしょう、

 炭坑で死んだ義父に代わって、
信さんは中学を出るとすぐに炭坑で働き、
義妹を高校へ行かせるために、遮二無二に働きます。
そして、春には東京に就職が決まっていたのに、
炭鉱の落盤事故で死んでしまいます。
自分の思いを美智代に告げることができぬままに…………。

 1963年は、私が13才(中学一年)の時でした。
1964年が東京オリンピック、1970年が大阪万博で、
日本が高度経済成長にひたすら邁進していた時代で、
徐々に経済的には豊かになっていました。
自分の家は決して豊かではなかったけど、でもこれほどでは……、
地域間の格差を強く感じました。

 主人公の信一が自分とほぼ同じ年代を生きていたので、
映画の中に出てくる何もかもなつかしく、
あの頃のことを思い出していました。

 あの時代は、いつまでも日本の経済成長が続いていき、
どこまでも豊かになっていくことが、信じられた時代でした。
希望に溢れた時代で、貧しさを何とも思っていませんでした。
みんな貧しかったから(^_^;)。
 

 

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