ヒア・アフター

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ヒア アフター h23.2.20 半田コロナ 

 朔的には☆は4つ(85点)で、最高ランクの評価です。
題材に好みはあると思いますが、それを差し引いても
すばらしい作品ですから、是非見て下さい。

 <来世><臨死体験><死者との対話>
これらは宗教を超えてどの国にもあることで、
それを信じるか信じないかは個人の問題です。

 私は信じていません。
やはりその事実を自分の目で確かめ、納得できるまでは……。
でも、全く否定をしているわけではなく、
ひょっとしたらあるかもしれない、
あっても不思議ではないとも思っています。
ただ、これらのことを使って金儲けをしようとする人が、
世の中には溢れています。
そのほとんどが偽物ですが、
その中に僅かな真実があるかもしれません。

 この映画は、一つとして粗略に扱われている場面がなく
非常に丹念に、そして丁寧に描いていると思いました。
国も状況も全く違う、3つ人生を簡潔かつ的確に描き、
感動的なクライマックスへと導いていきます。
そして絵に描いたようなハッピーエンド、
幸福感に満ちたりた気持ちで映画館を去ることができます。
冷静で控えめに抑えたマットデイモンの演技が光りました。

 私は完璧な映画だったと思いました。
映画の冒頭の津波のシーンの迫力と臨場感に
一気に心を捕まれてしまいました。
アメリカ、フランス、イギリスに住む3人の人間が
なぜロンドンへ集り、出会うことができたのか?
この3人の出会いへの導きが、最高の見物で、
3つの物語が、次第にそしてみごとにつながっていく、
その神懸かり的なテクニックに、
さすがクリント・イーストウッドとうなったものです(*^_^*)です。

 アメリカ人のジョージ(マットデイモン)は霊能力者で、
死者との対話ができる能力を仕事にしていました。
ネット、本と幅広く活躍していましたが、
しだいに自分のしていることに疑問を持ちはじめ、
このままでは自分が壊れてしまうと思い、その仕事をやめてしまいます。
今は工場で働いていますが、兄の紹介等で、
どうしても断り切れない場合には、その力を使っていました。
でも、それを使った後では強く後悔し、自分を責めていました。
料理教室で出会った素敵な彼女とも、それで別れます。

 工場のリストラを期に、兄貴からもう一度その能力を使って、
一緒に仕事をしようと誘われ、一旦はその気になりますが、
土壇場で気持ちが変わり、
大好きなディケンズの生まれたロンドンへと逃げていきます。
そして観光で訪れたディケンズの家で、
朗読会のことを知り、ブックフェアーへと足を運びます。

 フランス人のマリー(セシル・ドゥ・フランス)は、
避暑地の海岸で大津波に遭い、水中に投げ出され
さまよう中で臨死体験をします。
その時の不思議な感じは何であったかを解明したいと
研究をして本を出版します。
それを出版してくれたのが、ロンドンの出版社で、
ブックフェアーでサイン会をするために、ロンドンへと出かけます。
彼女はテレビ局の有名なニュースキャスターでしたが、
彼女の臨死体験を誰も真剣に受け止めてくれず、
変人扱いをされたので、自分を真に理解してくれる人を求めていました。

 イギリス人のマーカス少年。
彼は母と双子の兄との3人暮らしでしたが、
兄を交通事故で亡くし、
さらに母は薬物中毒のリハビリのため更正施設へ行ったため、
ひとりぼっちになります。
そこで役所から無理矢理里親へ出されます。
その寂しさから、死んだ兄と話をしたいと真剣に思い、
いろいろな霊能力者を捜し、訪ねますが
どれも偽物、そんな時ネットでジョージのことを知ります。
里親に連れられて、マーカスの前の里子が働くブックフェアーに行き、
そこでネットで顔を知っていたジョージと出会います。

 この作品は、「硫黄島2部作」に続き、
スティーブン・スピルバーグ製作総指揮、
クリント・イーストウッド監督による作品です。

 

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