光のほうへ

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光のほうへ h23.7.2 名演小劇場

 朔的には☆は3つ半(70点)です。

 負の連鎖というのでしょうか、
不幸な人はどんどん不幸になっていきます。
人はその連鎖を断ち切ることができるのでしょうか?
この映画はその連鎖を断ち切るために、
「光りのほうへ」向かって行こうとした兄弟の物語です。

 母親と暮らしている、仲の良い小学生の兄弟。
しかし母親はアル中で、育児を拒否し、
そのため二人は、生まれたばかりの弟の世話をしています。

 二人はその幼い弟の面倒をみることが唯一の生き甲斐で、
お金がないので、ミルクを万引きしたり、
洗礼のまねごとをして、電話帳から名前を付けたりして
可愛がっていました。

 でもある日、赤ん坊が突然死んでしまいます。
二人に落ち度は無かったのですが、
幼い命を守ることができなかったことに
強い責任と挫折感を感じます。
そして、二人はそれぞれ別々の人生へと向かって行きます。

 兄は愛する人が妊娠したことを知り、
自分に子供は育てられないと思い、
その気持ちに反して、恋人から逃げて行きます。
そして、その行き場のない憤りのために、
人を殴り刑務所へ入ります。

 弟は愛する妻を交通事故で亡くし、
その寂しさから麻薬に手を付けます。
幼い息子とぎりぎりの生活をしていて、
このままでは、子供を施設で預かると言われても、
麻薬をやめることができない、麻薬中毒者でした。

 長い間音信不通になっていたこの二人が、
母親の葬儀をきっかけにして、会うことになります。
そこで、兄は母親の遺産の全てを弟に渡します。
弟はその金を息子との楽しみに使いますが、
やがてその金を元手に麻薬の売買の仕事をし、逮捕されます。

 人はどうして悪い方へ悪い方へと
向かって行ってしまうのでしょうか?
もう少し我慢して頑張れば、希望の光りが見えるのに、
あえて、それとは逆の方向に、向かって行ってしまい
気がつくと負の連鎖に陥ってしまいます。

 この兄弟の最大の不幸は、唯一の肉親である
母親からさえも愛されていなかったこと、
そして、自分達が可愛がっていた弟を死なせてしまったことです。
二人は愛を与えることができません。
それは愛を知らないからです。
 

 

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