小川の辺

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小川の辺 h23.7.6 半田コロナ

 朔的には、☆は3つ半(70点)でお薦めです。
 
 藤沢周平の短編「闇の穴」を映画化したものです。

 海坂藩士、戌井朔之助(東山紀之)は、
脱藩した親友である佐久間森衛(片岡愛之助)への刺客を命じらます。
佐久間は農民の苦しみを見かね、藩主に農政の改革を訴えたことが
原因で閉門となり、妻の田鶴(菊池凛子)を連れて脱藩していました。
剣の達人で朔之助の親友であり、妻の田鶴は朔之助の妹でもありました。
幼い頃から田鶴への想いを秘めた奉公人の新蔵(勝地涼)と
ともに佐久間を討つべく江戸へ向けて旅立って行きます。

 様式の持つ、その凛とした美しさに魅了されました。
様式とか形式は堅苦しく意味のないものと、若い頃は毛嫌いをしてきましたが、
この年になって、ようやくその良さや意義を知り、
伝統とか形式、様式に美しさを感じるようになりました。
 
 決められたものにただ従うのは、
意志を持たない人間のすることだと、
できるだけそうならないようにして来ましたが、
今はそれはそれで良いこともあると思えるようになりました。

 食事の風景が何度も出てきますが、
決して楽しそうな雰囲気はありません。
食事の形式に従ってもくもくと食べています。
武士にとって食事ばかりでなく、
生きること自身が、楽しむためのものではなかったかもしれません。
現実的な喜びとか楽しみ以上に、
もっと大きなもののために生きているそんな気がします。
では、それは何なんでしょうか?

 封建時代とは、人生は決められたもの、
運命だと思って従って行く時代でした。
決してそれを擁護するわけではありませんが、
決断とは苦しいもの、それを考えると、
迷いのなさは、安らぎがあります。

 武士の場合であれば、藩主の意向に従うこと、
上下の関係や身分は生まれながらに決まっているもので、
決して変えてはならないものと固く信じられていました。

 今回の映画の場合、藩主の意向とは、妹の夫を殺すことでした。
こんな理不尽なことでも、主命であれば従います。

 ラストはハッピーエンドで全てが丸く収まります。
藤沢周平には珍しい終わり方です(*^_^*)。
 

 

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