一命 h23.10.26
阿久比のユナイテッドシネマで<一命>を見ました。
朔的には☆は3つ半(75点)でお勧めです。
ただ、結構えげつない切腹のシーンがあるので、
覚悟はして見に行ってください(^_^;)。
決して明るい気持ちで帰ることはできないと思います。
心にズシーンと重いものが残り、それがなかなか消えません。
一命をかけてでも守らなければならないもの
それがこの映画のテーマです。
それは、武士の意地とか面子というよりも
家族とか大切な人を守ること
大切な人の名誉を守ることかもしれません。
1630年頃の江戸が舞台です。
関ヶ原の戦いが1600年ですから、
それから30年後の江戸時代の武士は、
天下太平のため、実戦を知らない武士がほとんどとなり、
精神的にも肉体的にもなまくらになっていました。
徳川の世を盤石なものとするため、
幕府の方針として、
豊臣恩顧の大名を巧妙な方法で取り潰しをしていきました。
福島正則は、賤ヶ岳七本槍として活躍し秀吉に可愛がられた武将ですが、
関ヶ原では徳川に最初からついて武勲を立て、
関ヶ原の勝利に貢献した大名でした。
しかし、その福島藩に対して、
半年も前に願い出た城の補修許可が降りず、
さらに台風によって被害は大きくなり、
やむを得ず天守の補修を、許可なしで行ってしまいます。
それを口実に、幕府は福島藩の石高を減らし、
国替えを命じます。
それによって浪人がたくさんでました。
もちろんそれは福島藩だけのことではありません。
そのため、他の藩へ仕官を求めてもできない者は
浪人となり、武士を捨てて庶民と同じように働き、
貧しい生活を送っていました。
そんなある日、
江戸の裕福なある大名屋敷を一人の浪人が訪ね
玄関先で切腹をさせてくれと頼みます。
これに意気を感じた大名が、その浪人を取り立て
仕官させてことから、我も我もとなり、
続くことになります。
玄関先で切腹を申し出る浪人に対して、
切腹をされるのは迷惑だったので、
金銭を与えて帰らせることとなりました。
ここから、江戸では<狂言切腹>が流行ります。
福島藩の浪人、千々岩求女(瑛太)は、
肺病で寝たきりの妻と、
乳飲み子の病気のために、医者代が3両必要となり、
この狂言切腹を思い立ち、井伊家を訪ねます。
仕官、少なくともお金をもらえると思っていたのに、
その意に反して、井伊家では、狂言切腹の流行を
断固阻止するために許可をします。
あわてる求女……。
数ヶ月後、津雲半次郎(市川海老蔵)は、同じく井伊家の
玄関にて、切腹を願い出ます。彼は求女の義理の父でした。
<狂言切腹>という言葉を初めて聞きました。
本当にあったかどうかは別にして、ありそうな気がします。
仕官できない武士(浪人)の
生活の貧しさ、厳しさを知りました。
江戸時代、そのものが貧しい時代であったとはいえ、
なまじ武士だった故に、庶民にはない苦しさ厳しさがあったのかもしれません。
まして、病気となると悲惨です。
市川海老蔵の迫力、眼力の凄さ、
やや抑え目の演技が良かったです。
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