ツリー・オブ・ライフ

映画の目次へ 

 

ツリー・オブ・ライフ h23.8.18 半田コロナ

 朔的には☆は3つ(60点)です。
今年度カンヌ国際映画祭のパルムドール(最優秀賞)に
輝いた作品ということで、見てきました。

 私には超難解な作品で、正直何を言いたいのか、
よく分からない作品でした(^_^;)。
もっとも、分からなくても何かを感じてくれれば良いと
監督は思っているかもしれません。
 よく分からないからこそ、この映画は何が言いたいのかと
深く考え込んでしまいます。

 タイトルは<命の木>とでも訳すのでしょうか?
キリスト教的な世界観。
「人間の命ばかりか、万物の命はつながっていて、
それは一本の木のごとし」そんな感じかな(*^_^*)?

 天地創造の神はいるのか?いないのか?
もしいるとしたらどんな存在であるのか?
これは永遠のテーマで、
神以外に知り得ないものかもしれません。
この映画では、神のイメージを宇宙とか
大自然に置いている気がしました。

 それが証拠に映像で描かれていく人類の生誕と進化が
監督のイメージとして、多くの時間をとって描かれていました。
やや眠気が襲ってくるくらいに……(^_^;)。

 「人類の誕生以前から、この宇宙を神は司どり、
これから先もそのことは変わらず続いて行く。」
そんなことを言っているような気がします。

 映画の冒頭で、人には二つの生き方があると言っています。
一つは神を信じ、神の恵みに感謝しながら、
愛と共に生きる人、
もう一つは、自分が中心で自分の思うままに生きる人。

 そして、愛を知らずに生きる人の
人生はつかの間に終わってしまうが、
愛を知った人の命は永遠となるとも言っています。
これもこの映画を理解する上で、大切な言葉かもしれません。

 この二つのタイプの典型がこの映画の夫婦です。
神を絶対のものとして信じる妻と、
自分の力を信じ、周りを従わせようとする夫です。

 しかし、次男の死によって、妻の信仰に揺らぎがおきます。
自分はこれほど神を信じて、正しい事だけをして来たのに、
どうして私にこんな大きな不幸がおきるのかと……。

 旧約聖書の中に有名な<ヨブ記>があります。
若い時に読んだので、詳細は忘れましたが、
強烈な衝撃を受けたことは確かです。

 悪魔がキリストに
「どんなに信仰心の篤い人間でも、
神から理不尽な苦難を受れば、
信仰を捨てるのではないか?」と試します。
そこで、キリストは信仰心の特に篤いヨブを選び、
彼に次から次へと、悪魔に言われるままに、
理不尽な苦難を与えていきます。

 妻が信仰心に揺らぎを感じたのと同じように
あれほど傲慢で自分勝手な夫も、自分の仕事が失敗し、
全てをなくした時、自分にとって一番大事なものが
家族であることに気付きます。

 1950年代のアメリカ。
テキサスの田舎に住むジャックは、
二人の弟と信仰心に富む優しい母と、
厳格で子供を自分に従わせようとする
父(ブラッド・ビット)と住んでいました。

 この時代はアメリカが最もアメリカらしい時代で、
自信をもっていて時代でした。
その時代の父親の自信・威厳は
その時のアメリカを象徴していました。

 ジャックは、自分勝手で傲慢な父が大嫌いで、
反抗ばかりしていました。
彼のとった思春期独特の行動と悩みや、
父を嫌らうことは、私にも経験があるのでよく分かります。

 ジャック(ショーン・ペン)は後年成功をしますが、
幼い時の自分がトラウマとなり、
いまだに気持の整理ができず、安らぎを得ることができません。
そして、自分がかつての父親と
そっくりなことにも気づき愕然とします。

 しかしその深い悩みの末に、潜在意識の中の死後の世界で、
家族と再会し父とも和解をします。

 男の子が父親を理解するには、自分が人の親になるまで
待たねばなりません。
 

 

上に戻る