日本列島いきものたちの物語

映画の目次へ 

 

日本列島いきものたちの物 h24.2.23 半田コロナ

朔的には☆は3つ半(70点)でお勧めです。

 2年半の長きに渡り、日本を代表する
動物カメラマン達が撮影した、
日本列島各地のいきものたちのドキュメンタリー映画です。。

 知床半島のヒグマ、襟裳岬のアザラシ、
青森県下北半島ニホンザル、鹿児島県屋久島のシカとサルなど。
列島各地のいきものたちの、四季折々の暮らしぶりを描いています。

 日本列島の厳しい自然の中で、
生きていくことの厳しさと試練、
それを見守る母親の優しさと愛情、
そして子の巣立ちの物語です

 愛情一杯の子育て
でも、そこには優しさと同じくらいの厳しさがあります。
それは子供に自然界で生きていくための知恵を学ばせ、
一人前にさせ、独り立ちさせるための愛の鞭でもあります。

 キタキツネの母親は、
子ぎつねを愛情一杯で甘やかしていたのに
ある日を境に、子供を噛んで巣から追い出します。
それは独り立ちの時期になったからで、
自分も親からもそうされました。
それがキタキツネの掟です。

 いきものたちにとって、
今を精一杯生きて、子孫を残していくこと
それが唯一の目的であり仕事です。

 沢山の子を産むのは、厳しい自然界によって
淘汰され強い子だけ残すための手段であり、
それが種を絶やさない自然界の条件です。

 子供の仕草の愛くるしさは
人間でも動物でも同じです。

 生きていく為には餌を食べなければなりません。
弱肉強食の世界では、弱いものが強いものの餌になってしまいます。

 北国にすむ動物にとって、冬は特に大変です。
餌がなくなる上に、寒さから身を守らなければなりません。

 下北半島に住むの小猿の<めだか>は、
母親が死んで独りになった上、群からはぐれてしまいます。
頼るべき母がない小猿の必死に生きる姿は、
けなげで可哀想だけど、誰も助けてくれません。

 これから先のことを考えると、
独りで生きていく強さ、図太さが必要です。
それを<めだか>が徐々に自覚し、
痛い目に会いながら学んでいく姿は涙を誘います。

 冬になると猿は、冬用の毛になり、
家族が寄り添って暖めあって冬を越します。
(ただし、家族以外は暖めることはありません)

 アザラシは、子供が生まれるとすぐに臭いをかぎあって、
群ではぐれないように、
母と子の臭いを互いに覚えるようにしています。

 2年半にわたるプロの動物カメラマンの撮影の集大成です。
エンディングで、いきもの達の生体を
どのように撮影したかの状況を見せていますが、
こんなに近くで撮っていたのか?とびっくりさせられました。
だからこそ、表情豊で瞳の動きさえわかるように
撮れたのでしょう。

 生きることの厳しさ、
生きることのすばらしさを知らせてくれました。

 このいきものたちの姿は
人間に置き換えることができると思います。
 生きること以上のことをしなくても、
ただ生きていること、精一杯に生きていることだけで
十分であると気づかせてくれました(*^_^*)。
 

 

上に戻る