あの日あの時愛の記憶

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あの日 あの時 愛の記憶 h24.9.1 名演小劇場

 朔的には☆は3つ(60点)です。

 人は生まれる国と、時代を選ぶことができません。
このような映画を見る度に
今の日本に生まれたことの幸運を感じざるを得ません。

 日本とて、70年も前には大きな戦争をしていたのだし、
その前も断続的に戦争をしていました。
それを考えると、
一生の間に戦争を体験せずにすんだのは奇跡的なことであり、
自分の子供や孫もそうであることを望まざるを得ません。

 ポーランドという国はなんとも悲惨な国です。
ナチスドイツに併合され塗炭の苦しみを舐めさせられ、
やっとドイツが敗戦で解放されるかと思いきや
ソ連が侵攻してくる。
まさに、<前門の虎、後門の狼>と行った状況です。

 主人公のポーランド人トマシュは
ナチスのポーランド併合に抵抗するレジスタンスの一員でしたが、
逮捕され、政治犯としてアウシュビッツの強制収容所へ送られました。

 そこで彼は、ドイツ生まれのユダヤ人である
ハンナと知り合い恋に落ちます。
収容所で働くナチも人の子、そこは賄賂がまかり通る世界で、
トマシュはそれをうまく使い、要領よく立ち回っていました。
アウシュビッツの暗い印象ばかりの所に、
そんな風景を見たりするとほっとさせられます。

 トマシュは収容所の悲惨な状況を写した写真のネガをもって
脱獄をし、それをワルシャワにいる同士にとどけるという
使命を帯びていました。

 厳重な警備の目をかいくぐって計画を進め、
同士の反対を押し切ってハンナと共に脱獄をします。
それを知ったナチの執拗な追っ手、
果たして二人は無事に逃げることができたのか?

 人間は生きていかなければなりません。
どんなに人を愛し、その人と永遠を誓ったとしても、
その人が死ねば、その後も一人で生きていかなければなりません。
絶望の中で、心に傷をもったままで……。

 最愛の人が死んだと知らされ、
そう思いこんで生きてきたのに、
長い年月が経った後で、
その人が生きているとわかったら、
人はどのように行動するのでしょうか?

 過去を捨てて、今を生きることも正しく、
また、今を捨てて過去を求めることも正しいことです。
そのどちらを選ぶかはその人の考え方であり、
生き方です。
 

 

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