北のカナリアたち h24.11.9 半田コロナ
朔的には☆は3つ半(70点)でお薦めです。
湊かなえのミステリー「往復書簡」に収められている
「二十年後の宿題」が原案です。
大学教授の夫(柴田恭兵)と共に北海道の離島にやってきた
小学校教師のはる(吉永小百合)は島の分校で6人の小学生を受持ちます。
はるは、彼らの歌の才能に気付き、
合唱を通して、子供達の心を明るく育てて行きます。
そんな夏の日、海辺で子供達とのバーベキューで、
教え子の一人が溺れ、それを助けようとした彼女の夫が死ぬという
悲しい事故がおきます。
そしてその時の彼女の取った行動から、
追われるようにして島を出ることになります。
20年後、東京で図書館司書として働き、
定年を迎えていたはるに、
教え子の一人が起こした殺人事件の知らせが届きます。
はるはその真相を知るため、
6人の生徒たちとの再会のために離島へと向かいます。
サユリストの私は彼女の映画を何本も見てきました。
今回はその中でも特に良かったと思います。
抑え気味の演技が、語りたくても語れないはるの心情を
見るものに強く伝えてくれました。
吉永小百合は現在67歳だそうです。
今回は定年を迎えた60歳の図書館司書と、
40歳の時の分校の小学校教師の役を、
交互に描いていました。
吉永小百合は、常日頃から、肌の手入れや健康に注意しているので、
今も変わらず綺麗で、40歳の役も多少の違和感はありましたが、
私的には十分いけていたと思います(*^_^*)。
分校時代の事故。
海辺でのバーベキューの時に、教え子の一人が溺れ、
それを助けに飛び込んだ夫が死にますが、
その時はるはその現場にいませんでした。
その謎がこの映画の核心です。
実は彼女は男と会っていたのですが、
その真相に迫るというミステリー仕立てのドラマとなっています。
その真相を知る手がかりとなったのは、
教え子の一人が犯した殺人事件。
その理由を知るためはるが、
教え子一人一人に会って話を聞く内に
子供達の抱えていたいろいろな闇を知ることができます。
ただ最大の謎である、
彼女が事故の時に会っていた男(仲村トオル)
との関係が詳しく語られなかったのが残念です。
分校でのラストシーンは涙が溢れてきました。
きっとそんな設定になるだろうと思っていたら、
案の定その通りになりました(^_^;)。
そんな臭い演技でも泣けるのは、
日本人の観客がそれを求めているからでしょう。
離島の分校ドラマ以上に深いものがありました。
それはそこに大人の男女の関係が入ってきたからで、
生きるとはまさに清濁合わせ飲むことです(*^_^*)。
夫は末期癌(脳腫瘍)で終の棲家として、
この離島に妻と共にやってきます。
妻を愛する気持ちは深くても、
どうしてやることもできない自分がいます。
そこに妻を慕う若い男が現れます。
しかし妻のことを思い、二人の関係を許すという、
複雑な心情もテーマの1つです。
離島に赴任した巡査(仲村トオル)は、
深い傷を持っていました。
その命を救ったのは、はるであり、
はるは命の支えでもありました。
そんな彼にいけないとは分かっていても、惹かれていくはる。
2人の関係がどの程度のものであったか知りたいと思いました。
2人は体の関係があったのか?なかったのか?
それを確かめるために原作を読んで見たいと思いました。
そしてこのことがこの映画の核心であり、
まじめで清純なはるでも、どうすることもできない恋があることが分かります。
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