少年は残酷な弓を射る
h24年7月21日(土)ミリオン座
朔的には☆は3つ半(75点)でお勧めです。
英国の女性作家の原作を映画化したものです。
自由奔放に生きてきた作家のエヴァ
(ティルダ・スウィントン)は、
キャリアの途中で、夫フランクリンとの間に子供を授かります。
ケヴィンと名付けられた息子は、
なぜかエヴァには、赤子の時から反抗を繰り返し、心を開きません。
映画の冒頭のシーンが印象的で、
この物語の鍵を握るような気がします。
それは、スペインのブニュール地方で
行われるトマト祭のシーンです。
誰彼となくトマトをぶつけたり、
かけ合ったりするので、世界で最も汚れる祭りと言われています(;>_<;)。
おそらくエヴァは旅行記を書く作家なので、
トマト祭りを見たことがあり、それで夢に見たのでしょう。
この夢のシーンは何とも暗示的なものを感じさせます。
トマトに染まった彼女は群衆にもまれ、
いつしかたくさんの手に支えられて、高々と掲げられます。
その時の恍惚とした表情が印象的です。
トマトの色は血の色、血の洪水の中で、自己陶酔の
喜びを感じている。まるで事件の時の息子のように……。
そして夢から目覚め、現実に戻ったエヴァが見たものは、
一人住む質素な家の壁に、赤いペンキが塗られ、
車のフロントガラスには
べっとりと赤いペンキがついています。
衝撃的な映画でした。
この衝撃をなんと表現したり良いのでしょうか?
母親と息子の問題、子育ての難しさと言ってしまえば
それまでですが……。
息子は母親を恋人のように慕い、
父親を恋敵だと思う。そんな言葉を思い出しました(*^_^*)。
私はこの言葉は正しいと、自分の経験から言えると思います。
私は大好きな母親に認めて欲しくて、
褒めてほしくて、努力をし頑張ってきました。
これが一般的な母と息子の関係だと思いますが、
ところがこの映画はその逆で、徹底的に母親に嫌がらせをし、
困らせることで、愛情を表現しています。
それも徹底的に、見ていて気持ちが悪くなるほどにやります。
(私には到底理解できません)
でも、その行動の根底には、母に愛されたいという
気持ちがあったのでしょう。
その行動はどんどんととエスカレートして行きます。
彼が16歳になる3日前に、学校で無差別殺人をし、
さらに父親と幼い妹を殺します。
この無差別殺人が、洋弓によってなされることから、
邦題の「少年は残酷な弓を射る」となったのでしょう。
原題は「ケビン」(息子の名前)でした。
時間をジグザグに描くことで
緊張感のある映画となっていました。
最後は、刑務所への面会で息子を抱きしめるシーンで終わっています。
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