夢売る二人 h24.9.16 阿久比ユナイテッドシネマ
朔的には☆は3つ(60点)です。
妻が段取り、夫が実行する結婚詐欺師の物語です。
夫婦二人で切り盛りし5年間も頑張ってきた居酒屋、
やっと軌道に乗り、こらからという時に、火事を起し、
店は消失し二人は一文無しとなります。
店を出す10年前に戻っただけ、
もう一度やり直そうという気丈な里子(松たかこ)に対して、
すっかりやる気をなくしてしまった夫の貫也(阿部サダヲ)。
そんな夫は、ひょんなことから、
店の常連の女性と一夜を共にし、大金を手にします。
それを問い詰める里子は、夫婦で協力し、
店を出すための資金を稼ぐために結婚詐欺を思いつきます。
パンドラの箱の例えのように、
人間は夢(希望)がなければ生きていけません。
その夢を売ることで、お金をもらう、
何か商売としてなりたつような気もしますが、
そこに、<だます>ということが関わってくると犯罪となります。
そして、だまされたと気づいた時に、その人を大きく傷つけます。
焼失した自分たちの店を出すためという大義名分があり、
お金はいつか返すつもりであったとしても、
決して許される行為ではありません。
あとわずかという所で頓挫をしてしまいますが、
結局あれしか解決方法はなかったわけで、
なぜかほっとさせられました。
だまされた女性達も、みんなハッピーエンドで終わり、
夫婦にも明るい未来が見えています。
松たか子はずいぶんと思い切った、大胆な演技をし、
濡れ場もありました。
清純派からの脱皮を試みたのかな?
この映画に賭けるものを感じました。
夫婦は夢を叶えるために、
結局、遠回りをしてしまいました。
初めからまっとうな方法で行った方がよかった。
でも、結婚詐欺という犯罪をすることで、
苦しみ、二人は成長しました。
そして、夫婦の絆が再びできました。
自分たちの夢の実現のために、人の夢を利用し壊していく。
居酒屋をもう一度という、共通の夢を見ることしか、
繋がっていくことができなくなった夫婦。
そして、夫婦了解の元の、結婚詐欺とは言え、
他の女に愛され、入れ込んでいく夫への嫉妬心。
その複雑な女の心情を松たか子はうまく演じていました。
この映画の監督は「ゆれる」「ディア・ドクター」の西川美和です。
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