フライト h25.3.10 半田コロナ
朔的には☆は4つ(80点)で、お勧めです。
衝撃的でかついろいろと考えさせられる映画で、
最後の最後まで展開が見えずに楽しませてくれました。
主演男優賞にノミネートされた、
デンゼル・ワシントンの演技が光ります。
映画の作り方は、刑事ドラマではありませんが、
犯人があらかじめわかっていて、
その犯行のトリックを暴いていく、
<刑事コロンボ>のような感じでした。
ベテランのパイロットである
ウィトカー(デンゼル・ワシントン)は
機体の故障のために、墜落する飛行機を
背面飛行させるという奇策を持って、
最小限の死傷者で不時着をさせます。
天才的な運転技術で奇跡を起し、
多数の乗客の命を救ったことは、
彼でなければ成し得ない快挙と賞賛され、
一夜にして英雄となりまた。
でも、実は彼はアルコール依存症であり、
前の日も飲み、当日も隠れてウオッカを飲んでいました。
このことがわかると彼は英雄から一挙に犯罪者となります。
政府の事故調査委員会が立ち上がり、
彼の行動を嗅ぎ始めます。
会社とパイロット組合は、保身のため、
優秀な弁護士を雇って、彼の飲酒をなんとか隠そうとします。
果たして、嘘は隠し通すことができるのでしょうか?
この映画のメインテーマは<嘘>です。
嘘は良いか悪いかと言えば、悪いことに決まっていますが、
生きている以上、嘘をついたことのない人はいないと思います。
また、嘘は自分につくこともあるし、人につくこともあります。
では嘘は絶対にダメかというと、
<嘘も方便>というお釈迦様の言葉があるように、
嘘でも時と場合によっては許されると解釈する人もいます。
私もそうだと思います。
嘘をつくことは普通の人なら、良心に痛みを感じるので、
苦しくて辛いものです。
だから、嘘をやめて真実を話せば、自分の心は軽くなりますが、
それによって人を傷つけ、苦しめることもあります。
この映画の主人公は、最後に自分の嘘をばらし、
真実を話すことで、自分を縛ってきたものから自由となりましたが、
犯罪者となり刑務所に入ります。
また、パイロット組合の友人や、会社に甚大な影響を与えます。
さらに、家族にも犯罪者の家族という汚名をきせることになりました。
自分の自由と正義のために、人を犠牲にしたともいえる行為は、
本当にそれで良かったの?と問いたい気分です。
アメリカの実情は知りませんが、
パイロットがアルコール依存症で、
昨日の酒が残っていて、さらにコカインを常用している、
それをチェックなしに搭乗をさせているのでしょうか?
事故の原因が機体の故障だとしても、
機長が飲酒をしていたのであれば大問題です。
もし、彼が飲酒をしていなくて、
この大事故に対応していれば、英雄となったいたはずです。
機長は自堕落な生活を送り、
アルコール依存症でかつコカインの常用者でもありました。
その依存は自分自身への嘘の為だと言っていました。
彼は、離婚をしていますが、大学生の一人息子がいます。
離婚をして怠惰な生活を送るようになったのか?
それとも、怠惰な生活のために離婚をしたのか?
それははっきりとしません。
アルコール依存症からの脱出も、
この映画の大きなテーマの一つです。
自分がアルコール依存症であることを認めることが
治療の第一歩だと、<依存症の会>で話されていました。
でも、彼は最後までそれを認めることができず、愛する人を失います。
|