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 h26.1.28 半田コロナ 

 朔的には☆は3つ(65点)です。

 直木賞を受賞した中島京子の同名小説を、
山田洋次監督が映像化しました。

 北国の貧しい村から東京へ出て来た
若き日のタキ(黒木華)は、
おしゃれな赤い三角屋根のモダンな洋館に女中として住み込みます。
そこは東京の玩具会社の常務で、
夫婦と男の子が暮らし、タキは家族の一員のように愛され、
穏やかな日々を送っていました。
そこへ、夫の会社のデザイナー(吉岡秀隆)が
訪れるようになって、妻(松たか子)の心にさざ波が起こり
やがて、大きな冬波となっていきます。

 不倫の物語です。
「不倫は文化」と言ったのは、石田純一ですが、
いつの時代でも人を好きになることを、止めることはできません。
もちろん不倫は悪いことに決まっていますが……。

 それを思いとどまるのは法的な力などの外部要因です。
この映画の昭和11年という時代の刑法では、
姦通罪がありました。
ただ、これは夫からの親告罪
(夫から訴えがなければ罪とはならない)で、
妻からの訴えは認められないという、
男女平等に反するものであったため、現在は廃止されています。
しかし韓国では、今でも「姦通罪」があると聞いています。
(男女どちらからでも親告できるそうです)

 デビュー以来松たか子の大ファンである私としては、
彼女の和服姿に人妻としての色気を強烈に感じました。
でも才色兼備の彼女が
なぜあんな平凡な男を夫に選んだのか?
きっとお見合いだったと思いますが……。
悪い人ではないのですが、デリカシーがなく、
あんな美人の奥さんを持っていたら、浮気の一つも
心配するのが普通だと思いますが、全くのノーマークで、
知らぬは亭主ばかりなりですね(*^_^*)。

 あの時代(昭和11年)は戦時中でもあり、
窮屈この上ない時代だったけど、
日本的な美しさがあった時代でした。
それは、「様式美」で形から入る美しさです。
礼儀作法や言葉遣いや身のこなしは、
見ていてとても気持ちが良いものです。
相手を思いやる気持ち、不快にさせない気持ちが
礼儀作法の本来の姿です。

 昭和11年当時は、格差は今以上あった時代でした。
国全体が貧しかったけど、
もっと貧しい人たちがいて、貧富の差、
特に地方と東京の格差が激しかったです。

 地方(田舎)の貧困は激しく、
百姓は食って行くためには、
長男以外の子供達は兵隊か女郎かという時代でした。
そしてその貧困が戦争への引き金となったことも事実です。

 自分の子供の頃(昭和35年)は女中さんと言っていました。
その後、女中は差別用語ということで、
<お手伝いさん>という呼び方に変わりましたが、
あの当時は女中という存在は、それほど特別な事ではなく、
裕福な家とかお屋敷では女中さんが普通にいました。
 

 

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