h25年11月10日 阿久比ユナイテッドシネマ
朔的には☆は4つ(85点)で超お勧めです(*^_^*)。
すばらしい作品で、
私にとっては、三谷幸喜の最高傑作と言っても
過言ではないと思います。
この映画の原作本を読んだ時から、
映画の為に書かれた本だとわかりました。
それは、まるで映画の脚本のようで、
登場人物の心の中を紡いでいくような手法が新鮮でした。
封切りの翌日(日曜日の午後)に行きましたが、
結構な客入りで、ヒットの予感がしました。
ウイットに富んだ作品で、笑い声が時々起こっていましたが
特に、更科六兵衛(西田敏行)が登場した時には、
どっと笑いがおきました。
それは、この映画の封切りに合わせて
金曜ロードショウで、三谷監督の前作『素敵な金縛り』が
放送され、それを見た人が多かった証拠で、
かくいう私も見ました(*^_^*)。
特に良かったのは、秀吉役の大泉洋で
秀吉になりきっていました。
また、池田恒興役の佐藤浩市も味わいのある演技でした。
信長は光秀の謀反により本能寺に倒れ、
同じく嫡男の信忠も討たれます。
光秀謀反の知らせを中国で知った秀吉は、
奇跡的な中国大返しで、光秀を天王山に破りました。
それによって、秀吉は主君の仇を討った第一功労者となりました。
それに対して、織田家筆頭宿老であった柴田勝家は
上杉勢と対峙していて、動くことをためらったため、
光秀討伐に間に合わず、大きな負い目を感じていました。
その劣勢を一気に挽回するために、
勝家の盟友である、丹羽長秀が謀ったのが
織田家の跡目を決める清須会議でした。
一方秀吉はこの会議を
天下統一への足がかりにしようと考えていました。
このように清須会議は、織田家の家督争いという形を借りた、
秀吉と勝家との戦いでした。
また、この二人は信長の妹である、お市の方に惚れていて、
その争奪戦でもあり、こちらの方がもっと面白いかもしれません(*^_^*)。
秀吉のお市の方への思いと憧れは、
信長に仕えた時からのものでした。
一方お市の方は、秀吉はたとえ信長の命とはいえ、
夫浅井長政と嫡男の万福丸を殺された恨みがあり、
その憎さは、秀吉の嫌がることなら何でもするという徹底ぶりで、
その結果、秀吉が一番嫌がる勝家の元に嫁ぎました。
秀吉にとっては、会議には勝ったけど、
お市の方をめぐる戦いでは負けたわけです。
<ひとたらし>と秀吉は言われます。
その<ひとたらし>の巧みさによって秀吉は出世をしました。
太閤記などには、その逸話が多く語られていますが、
それは天性のものであったと思います。
人が何を求めているか?
それを察知し、それを与える約束をします。
まさに<人を動かすには、その人が動きたくなるようにしろ>との
格言を見事に実践していました。
また秀吉は人を油断させるために、
お世辞を言って相手を良い気分にさせたり、
わざとへりくだったりして、自分を下に見せます。
そしてそんな偽りで人を騙すことを何とも思っていませんでした。
それに対して勝家は、
無骨で実直な田舎者で、
何事も筋を通すまじめな人柄でした。
戦国時代の申し子であり、
洗練された秀吉との対比が際だっています。
この二人の戦いの勝敗は、
次の時代に必要な人物はどちらであったか?にかかっていました。
そして、時代は戦の世から交渉や外交によって
動く世界へ、つまり秀吉を必要とする時代へと移っていました。
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