フューリー

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 フューリーを阿久比ユナイテッドシネマで見ました。

 朔的には☆は4つ(80点)で、今年一番の映画だと思いました。
 戦争の現実、非情さ、むごさが隠すことなく描かれていたため、
現実の戦争は善悪の彼岸にあることを、改めて知り愕然とする。
 もっとも戦争映画を見る度に、そう思っているが、時間と共に忘れてしまう。
その意味でも、時々は戦争映画を見ることは必要なことであり、
それによって、自分が如何に恵まれているか、幸せなのかを実感できる。

 この映画は今までの戦争映画とは、視点が違い一味違うものを感じた。
 戦争が良いとか悪いとか、正義とか悪とか、
そんなことよりも今を生きること、生き残って行くことが重要で、
それを究極まで突き詰めて行った所に、
この映画が単なる反戦映画とは一線を画すものとなった。

 とにかく主演のブラットピットの存在感が大きく、
彼の従来のイメージとは全く違った役柄を見事に演じた。
彼の演じた軍曹は、単純に正義の人ではなく、
清濁合わせ飲む気概で国を守り、仲間を守り、自分を守る。

 第二次世界大戦の末期、ドイツ戦線。
ノルマンディーに上陸したアメリカ軍はフランスを解放し、
ドイツへと進行をしていく。
敗戦が確実なのに、それでも戦いを諦めないナチスドイツは
総動員態勢をとって必死の抵抗をする。
 フューリーとは、戦車の名前。
 戦車隊は1台に5人の体勢で、仲間からドンと言われている
軍曹(ブラッドピット)が指揮をとる。
そこへ一人の初年兵が加わり、彼を一人前の軍人にし、
チームワークがとれるようにドンが導いて行く。

 ドンは、部下からの絶対の信頼があった。
それはドンと一緒なら、死なない、生きて行けるということを
部下が身をもって知っていたからである。

 司馬遼太郎は太平洋戦争で戦車部隊に所属していたが、
指揮官が余りにも無能だったことから、
いつ頃から指揮官は無能になったのかを知るために、
日露戦争の詳細を描いた<坂の上の雲>を書いたと言われる。
それと真逆で優秀な指揮官がこの映画のドンである。
 

 

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