博士と彼女のセオリー

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 天才物理学者として将来を嘱望されていた
ホーキング(エディ・レッドメイン)は
ケンブリッジ大学大学院生の時に、
同じ大学で詩を学ぶ
ジェーン(フェリシティ・ジョーンズ)と出会ふ。

 恋をして二人は将来を誓い会う仲となるが、
その直後、彼はALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し、
余命2年と宣告される。

 自分が彼女の負担になると考えたホーキングは
別れを告げるが、ジェーンは共に困難を乗り越え、
彼を支えて行く道を選んだ。

 体が硬直し麻痺して歩けないので、
車椅子の生活を余儀なくされる。
言葉も喋れなくなるが、脳には影響がないので、
瞬きで言葉の代わりをし、
コンピュータの力をかりて物理学の論文を書いていく。

 ブラックホールとか、相対性理論とか、
宇宙の膨張とか、ビッグバンとか
宇宙の話がたくさんでてくるのも楽しい。

 「天才だけど車椅子の生活」
「凡人だけど不治の病には冒されていない生活」
そのどちらが幸せなのか?

 選択できるなら、私は後者であるが、
それはその人の価値観や考え方によって異なる。
幸せの尺度はいろいろであり、なかなか難しい問題である。

 ホーキング役のエディ・レッドメインは、
ホーキングそのもので(映像でしか彼を知らないが)
さらに演技も抜群だったので、
この役でアカデミー賞の主演男優賞を取ったことは十分頷ける。

 この映画は難病を乗り越え、
偉大な物理学者として大成していくホーキング博士、
それを献身的で誠実に支える妻との
美談のドラマだと安心して見ていた。

 それが後半になって、
あの清純で敬虔なクリスチャンのジェーンに
不倫があって、びっくり仰天。

 ジェーンは、看病疲れとストレスから
他の男に心を許してしまう。
ここら辺りは人間には
どうすることのできない心の動きであり、
理性では止められない、欲望や満たされないものがある。
だから人間は面白く、ノンフィクションは面白い。

 それを責めることは誰にもできない、
それはその人だけの事情があるのだから。

 自分が大学生の頃、テレビで夢中になって見ていた、
「カールセーガンの宇宙への旅」。
その時に初めてホーキング博士をみた。
車椅子に乗った障害者で、
コンピュータからの人工の声で宇宙の神秘について話す。
その異様な姿と才能にショックを覚えた。
でも当時は正直どういう人かどれほど偉大な人か?
わからなかった。
その謎がこの映画によって解明された。

 テレビドラマの「アルジャーノンに花束を」を
楽しみに見ていた。
このドラマは脳に障害を持って生まれた白鳥咲人を、
新薬の力で知能を高めていくというものである。

 そのドラマの中で、
咲人は新薬の力でどの位まで成長するかとの話の中で、
「アインシュタインやホーキング博士と
同じ位のIQまでは成長する。」という台詞があった。

 ということは、アインシュタインと
ホーキングは同じ位の天才であり、
ここからホーキングの偉大さが想像できた。
 

 

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