太秦ライムライト

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 太秦ライムライトを半田コロナで見ました。
 朔的には☆は3つ半(70点)でお勧めです。

この映画は、トムクルーズの「ラストサムライ」にも出ていた、
福本清三(71歳)は、時代劇の斬られ役専門の名脇役であり、
その彼にスポットライトを当てたものです。

 また、チャールズ・チャップリンの名作
『ライムライト』をモチーフにした物語で、
 カナダファンタジア映画祭で、最優秀作品賞と
主演男優賞を受賞した。

ライムライトとは、照明器具の一種。
電灯が発明される前は舞台照明として盛んに用いられたが
1878年に白熱電球が実用化されると次第に廃れ、
20世紀初頭には使用されなくなった。
そのようなことから、ライムライトは「名声」
それも過去の名声の代名詞として用いられるようになった。

 映画<ライムライト>は、チャップリンの名作である。
一世を風靡したが、今は老いて落ちぶれたピエロ(喜劇役者)が
若き無名のバレリーナを育てていく物語である。
二人のせつない恋もこの映画とよく似ている。

 京都・太秦にある、日映撮影所に、所属する
香美山清一(福本清三)は、
斬られ役として長年大部屋俳優を務め、
無数のチャンバラ時代劇に出演してきた。

 しかし、時代と共に時代劇は廃れ、彼の出番がなくなり、
テーマパークの立ち回りの寸劇で食いつないでいた。
そんな中、無名の女優志望の伊賀さつきは、
香美山の一途さ、ひたむきさを尊敬し、
殺陣の師匠と慕うようになる。
そして厳しい稽古の中で、彼女は力をつけ、
スターへのチャンスを掴んでいく。

 東映京都太秦映画村は、
東映の京都撮影所の一部を分離し一般公開したものです。
私は20代の新婚の頃に行って
銭形平次を撮影している大川橋蔵を見ました。

 私の子供の頃(1950年代)は、東映のチャンバラ映画全盛時代、
勧善懲悪と、すかっとする殺陣が魅力的で、
映画館によく見にいきました。
中村錦之助や大川橋蔵が活躍していましたが、
1960年代後半から映画の斜陽化と共に、
時代劇は廃れて行きました。

「斬る人がいれば、斬られる人がいる。」
主役とわき役、メインとサブ
出世する人としない人というように、
すべて世の中は相対的である。

二つの立場で成り立つ社会、
それであきらめるか、それともそれでは満足せずに頑張って
立場を逆転して行くか……。

 <諦めて生きて行くこと>もまた正しい道かもしれない。
 幸福とは自分の状況や運命を
認めることから始まると言われているから……。
そして、自分に合ったもの、
身の丈に合った生き方が幸福の基本でもあるからである。

 それに対して今の立場に満足せずに
頑張ることも正しい道かもしれない。
もっとも努力し頑張っても、運なく失敗に終わるかもしれない。
でも、たとえ失敗に終わっても、やらないで後悔するよりは
やって後悔する方が良いと思う。

 もっとも出世したから、金持ちになったからといって、
その人が幸せとは限らないが……。
全てはその人が決めること。
それが自分で決められる自由がある、
そんな国や時代であってほしいと願っている。

 わき役の人にも人生がある。
この映画はそれにスポットライトを当てた映画である。
誰でも、最初からわき役で良いと思っている訳ではなく、
いつかはスターになることを夢見てこの道に入ってくる。

 でも、自分の力のなさや運命から限界を感じる。
そこでどうするか?人生の分かれ道である。
ある人はあきらめて、別の人生へ、
またある人は、それでもその道に留まり、
精進しその道を極めていく、この映画の主人公のように…。

 激しい動きと、あれほど複雑な殺陣はどうして覚えられるのか?
素人の私には不思議でなりませんが、
ダンスと同じで、基礎ができていると、
短い段取りだけで、あんな風に簡単にできるのでしょう。
「殺陣ができることは芝居ができること」という台詞がありましたが、
印象深いものでした。
 

 

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