海よりもまだ深く

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海よりもまだ深く

 h28.5.23(金)阿久比ユナイテッドシネマで見ました。
朔的には☆は3つ(65点)で、
確かに阿部寛にはずれはなしですね(*^_^*)

****<ネットより抜粋>**
 大人になりきれない男と年老いた母を中心に、
夢見ていた未来とは違う現在を生きる
家族の姿をつづった人間ドラマ。

 15年前に文学賞を一度受賞したものの、
その後は売れず、作家として成功する夢を
追い続けている中年男性・良多。
 現在は生活費のため探偵事務所で働いているが、
周囲にも自分にも「小説のための取材」だと言い訳していた。
別れた妻・響子への未練を引きずっている良多は、
彼女を「張り込み」して
新しい恋人がいることを知りショックを受ける。

*****
 どうしてこうなってしまったのか?
人生の岐路、ターニングポイントでの選択を
間違ってしまった家族の物語です。

 主人公の良多は、なまじ新人文学賞などを取ってしまい、
それが本となり出版されてしまったものだから
その後ずっと鳴かず飛ばずであっても、
夢をあきらめられず、その栄光の残滓を
ずっと引きずって生きて来ました。

 定職につかず、アルバイトで食いつないでいるのに、
そうかと言って小説を書いているわけでもなく
人に頼り、運に頼りながら無為の日々を過ごしている男です。

 妻と別れたのは、こんな生活力のなさのためです。
自分が原因で別れたのに、どうしても諦めきれず、
別れた妻をストーカーのように密かに追いかけ
一人息子にも、見栄を張っています。

 別れた後で、妻子の大切さを思い知ります。
人は失った時、初めて自分にとってそれが
かけがえのないものであったことを知ります、
でも、その時は遅いわけです。

 彼がもし結婚生活の中で現実的な対応をとっていたら、
離婚はなかったでしょう。
子供が産まれたら、夫が変わるのではと、
それまで待ったと、妻が姑に語っていました。

 男は今を生きずに、夢や未来に生きる
でも女はそれと逆で、現実的で今を生きる。

 それからこんな言葉も気に入りました。
女は油絵のように、過去の男を塗りつぶしていく、
だから、過去の男は見えないけど、
消えてしまったわけではなくあることはあると…。

 世の中はうまくいかない、
思うようにいかない人であふれています。
というより、ほとんどの人がそうです。
それをどう修正し、辻褄を合わせていくのか?
それが幸せになる秘訣であり、世渡り上手な人です。
その秘訣は、妙なプライドは捨てることだと思います。

 夢をどこで諦めるか、それはとても難しい問題です。
もう少しやれば大成するかもしれないからです。

 小説を持ち込んだ出版社の担当者から
マンガの原作の依頼があったが、
それを妙なプライドから断ります。
そこに彼の問題点が集約されている気がします。

 だってそんなプライドを捨てれば、
子供の養育費を払うこともできるし、
ひょっとしたら、それによって元妻と
よりをもどせるかもしれません。

 でもプライドが、どうでもいいプライドが邪魔をする。
それによって自分だけならまだしも、家族に大迷惑をかけるわけです。

 樹木希林(老いた母)と阿部寛(長男)との掛け合いが絶妙です。
月に5万の養育費を払えず、
年金暮らしの、一人暮らしの母親の金をあてにして、
家にあるものを質にいれたりしています。

 バイト感覚の探偵業の給料や、
不正をしてもうけたお金も競輪にすってしまいます。
それなのに、別れた嫁と縒りを戻すことを
考えています。
彼は何をしたいのか?何をめざしているのか?
よくわかりません。

 海よりもまだ深く愛されているのを知っているのに、
それに応えることができず、
どうすることもできない男と女。
人生のどこで、どう歯車は狂ってしまったのか?

 人生ってうまくいかないものだなあ、とつくづく思います。
だから人生は面白いのですが……。
 

 

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