出会いとくっつき虫

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 私の好きな作家に灰谷健次郎がいます。そして今、灰谷健次郎の「天の瞳」を読んでいますが、その中に出会いの不思議について書いた部分があるので、紹介します。

 雑草の生えた草むらに行くと、服に一杯草の実が付くことがあります。まるで小さい虫のようです。この草をくっつき草といい、この実のことをくっつき虫と言います。次は、この小説の主人公の倫太郎(小学校1年生)とおじいちゃんの会話です。

 「こんなちいさな草の実にも、心というもんはある。人や動物にくっついて旅をしよる。倫太郎にくっついた草の実は、倫太郎の心と出合ったわけやな。草の実はいっぱいあるし、こどもはいっぱいいるのに、この草の実は倫太郎に出合うた」

 「なんで?」

「なんでか分からん。誰にも分からん。分かってしもうたら人は出会いを大事にせんようになる。それは神様だけがしっているのや」