◆久しぶりだね、ドーサン◆

2004.7.10,11

 

 はるばるやってきました徳島・クラブコルツ。かくして、久しぶりのドーサンとの対面となりました。環境もお仕事もガラっと変わったドーサンは、えさのことなども高知競馬の調教師さんからクラブへ申し送りがあり、いろいろ気遣いいただいているにも拘らず、食欲をなくしてちょっと痩せ気味。高知と全く同じという訳にもいかず、また環境や訓練方法の変化などが、これほど彼に影響を及ぼすとは思わなかった。
 普段は大人しくて、子供が傍に来ても乗っても全く安心らしく、勿論初心者が騎乗しても大丈夫。これが本当につい最近まで、着を争っていた競馬馬なの?というくらい。
 けど・・・だけど、高知の調教師さん(以下先生)が懸念されてたことは、これだったのかあああああ!!と嫌でも納得する出来事が。
 何しろ、走らないのだ。嫌だと思ったら、むちを使おうが、合図をしようが。むちで叩こうものなら、尻っぱねして反抗。オーナーの嘆きの一言、
 「あんまり動かんので、竹内元調教師に電話して、ありゃどうやったら動くんじゃあ、言ったんよ。そうしたら、そうよ、動かんのよ、って」
・ ・・・・(・−・;)えーと・・・・。
 「乗り心地は凄くいいんよ、いいクッションしとるし。大人しいから初心者でも乗れるしね。でもね、やっぱり誰でも乗れる馬か、障害や馬術大会でメダルを取れる馬か、それか超有名馬でないとねぇ・・・。」
 今は乗馬見習中。一緒に来たローレンスは大分馴染んで、駆け足などもすんなり出たらしい。ああ、竹内調教師の言われたのは、こういうことだったのね・・・。これじゃいつまで置いて貰えるか、果てしなく不安。早く次の行き先を考えておいた方がいいのか、と密かに悩む・・・。

 はじめて馬場に放牧されたとき、どうしていいか判らず、ボーっとただ佇んでいたらしいドーサン。初めての外乗で、葉のすれる音にすら驚いていたドーサン。馬場で他の馬に並ばれたときは、まだ競争心を出して、抜かれまいとしていたドーサン。まだまだ初めてのことばかりで、慣れなくて戸惑っているだけなのかもしれない。でも、「もう自分は走らなくてもいいんだ」ということは、うすうす理解しているらしい。
 そんなドーサンに、引き馬で乗せて頂いた。前に一度他の馬で引き馬騎乗したのだが、やっぱり「乗り心地のよさ」というのは分かる。自分がバランス感覚の欠如した人間なので、余計に分かるのだ。それにしても、自分が競馬場で、パドックで応援していた馬に乗ることがあるとは・・・。ちょっと感激モノだった。

 竹内師からドーサンのことを頼まれたとき、どうしても最後まで首を縦に振れなかったというオーナー。しかし、ドーサンたちを引き取るとき、既に厩舎は満杯だったのに、新しく馬房を増設してまで迎えてくださったオーナー。
あのおバカなドーサンは、何を反発するのだろう・・・と思いながら、こうと決めたらテコでも動かない頑固さが、自分に似ている、と思った。

 「昨日よりは今日、と日一日よくなってきているような気がしますよ」という、会員のTさんの言葉でちょっと気を取り直し、次回来るまではもうちょっと何とかなってるように頼むよドーサン、と心の中で祈る久しぶりの再会でした。


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