◆家族になる、ドーサン?◆

2004.9.11,12

 

 8月にドーサンに会いに行かなかったのは、決して彼のことを忘れていた訳ではない。万が一ドーサンが出された時のために、預託引き受け先を探して、北海道へ飛んでいたためである。

 そうして、久方ぶりのドーサンとの邂逅を楽しみに、我が一家はコルツへと車を走らせた。ドーサンは、前と同じ馬房から、きょとんとしてこちらを向いていた。「ドーサン」と呼びつつ近づいていったら、私の手にりんごの匂いが残ってでもいたのだろう、手をペロペロと舐めてくれた。早速りんごをプレゼントする。ん?足元に青いつる草のようなものが。社長に訊くと、さつまいものつるらしい。他の馬たちは喜んで食べるのに、ドーサンは地面に置かれたものは手をつけないらしい。「ドーサンは、食べんのよ」と社長。ドーサンは何故か、歯の一部が抜けているので、つる物は食べにくいのかも・・・。と葉の青いところをちぎって、口に持っていってやると、食べた!しかも、「もっとおくれ」と前足をドン!ドン!と鳴らして催促してくる。
 青葉がもうなくなっても、ダン!ダン!ひぇ〜〜、ドーサン、そりゃ無理ってものよ。
 「これも食べんかったんだけど・・・。」と社長が、さつまいもを何本か出してくれる。手でやると、食べた!おい、お給仕してくれないと食べないってか?贅沢なやっちゃ。

 お稽古ではやっぱり・・・変わらず頑固で、駆け足するのを嫌がり、鞭で叩かれては反抗しまくっていて、「困ったものだ・・。」と思う。でも、いざ駆け足が出ると、スタッフも会員さんもみんなで、「おお!駆け足が出た!」と我がことのように喜んでくださる。ありがたいことだ。

 それから、社長とドーサンについて話した。私も、「ドーサンを出す時は連絡を」とあまりやいのやいのと言いすぎて社長を困らせていたことと思う。でもあのドーサンの姿は、心配して余りあるものだった。社長からは、
「貴方はドーサンのファンで、自分では騎乗しない方だし・・・クラブの馬として、お客さんや会員さんが乗っても構わないという条件付で、一口馬主として飼育費の一部を負担する代わりに、勝手によそには出さない、というのはどうでしょうか?」という有難い提案を頂いた。私どもも、まだ10歳というドーサンを、養老牧場でただ草を食べて生きている馬にするよりは、ひとつの仕事を持っている方がいいとは思っていた。また、人に従順になることを覚えなければ、どこに行ってもやっていけないだろう。それに、いろんな人と触れ合い、可愛がって貰うことは、ドーサンの為にもなると思った。
ドーサン、うちの家族になる?いつまでも貴方を見ていてもいい?

 家に戻ってすぐ、社長に承諾の電話をさせていただいた。ああ、また頑張って働かなきゃ・・・。デカい息子が出来てしまったから(爆)。
 でも不思議、心は晴れやかだった。もうドーサンの行く末を心配しまくった手紙を書かなくてもいい・・・。今よりもちょっと、ドーサンを幸せにすることが私にも出来ればいいな・・・・。

 コルツの社長、嬉しい提案、ありがとうございました。奥様から、社長自身はあまり口にされませんが、本当に本当に馬に愛情を持っておられる方と伺いました。風がきついと夜中でも馬の様子を見に走る。台風の日は、馬運車をドーサンの馬房の前に停めて、風が吹きつけないように配慮してくださいました。
ドーサンは幸せ者です・・・。^^


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