◆辺りが白いね、ドーサン◆

2005.12.17,18


 寒波襲来ということで、日本は全国的に雪だという。こんな日に出て行って、例えば明石海峡大橋が通行止になったらどうしようとか、帰れなくなったらとか思ったけれど、りんごをたくさん貰って幸せそうにじゃれるドーサンの姿が脳裏に浮かび、徳島行きを決行する。

 この日、徳島市内はちょっと霙に見舞われたものの、乗馬クラブは曇ったくらいで済んでいた。だが、すごい風が馬場の中を吹き荒れている。オーナーとスタッフのKさん母娘、それに会員のKさんが居られた。会員のKさんは、最近特にドーサンを気に入って騎乗してくださるのだが、さすがに今日は天候の悪さに「乗馬はしないつもりで」「でもりんごをたくさん持って」馬達のために来てくださったようだ。ドーサンもたくさんりんごをいただいたようだ。

 こんな天気の中無事着いたので、「ドーちゃあん、来たよー」と思わず馬房に

走り寄ったら、「ナニ?ナニ?」と驚いてドーちゃん、飛びのく。馬は臆病な生き物だということ、基本を忘れていた、とちょっと反省。ゴメン、ドーサン。

早速ドーサンを外に出して貰い、私は馬房掃除を行なう。今日のボロも健康そうだ。よかった。

 時折、雪がちらつきだした。オーナーがドーサンに乗って運動をさせてくださる。会員のKさんも騎乗を促され、「今日は乗るつもりじゃなかったけんど」とドーサンに騎乗してくださる。その後はスタッフのKさんのお嬢さん、Yちゃんが騎乗してくださったが、ちょっと走るのを嫌がっていたみたいだったとか・・・。凄い風が馬場内を渦巻いていたから、無理もないか。(^^;)

 会員のKさんのお土産のりんごをたくさん戴いたためか、私もたくさんりんごをドーサンの飼い葉桶に放り込んだのだが「もういいよ」という感じで最後は残していた。この贅沢者。

 あまりの寒さに17日は早々にクラブを立ち去った。

 18日、朝起きて窓の外を見てびっくり。道も山も一面の雪景色。車も5センチほどの雪に埋もれている。これじゃ馬たちはどうなっていることやら、とスリップに気をつけながら部分部分凍った道を走る。

 乗馬クラブでは、オーナーが一生懸命馬たちに朝餉を食べさせている最中だった。奥様が、笑顔で迎えてくださる。「この雪だけん、娘もKさんも来られんちゅうて。でも生き物のことだけん、朝餉をやらんと可哀想だから頑張って走ってきて」ヘイキューブや穀物などの他に、大根やりんごなども貰って馬たちは嬉しそうに食べている。馬場は一面の銀世界だ。

「今日の雪は歩くとこう、足の下にだんごが出来るんよ。だけん、危ないから馬たちは出されんのよ。北海道とかでも雪は多いだろうに、放牧とかはどうしておられるんだろうねぇ」とオーナー。北海道の知り合いの牧場では雪でも放牧されているけれど、雪質が違うかも知れないし何とも言えない。

 オーナーが馬房掃除を始められたので、私もドーサンを出して貰い、馬房掃除をする。馬房掃除は、ボロ(糞)を熊手で丁寧に取り除き、代わりに新鮮なおがくずの粉を入れてやる。「今日は寒いけん、多めに入れてやってや。馬があったかいから。」とオーナーの心遣い。実は、私たちのために淡路島の知り合いさんとかと連絡を取り、交通情報をまめに調べてくださってもいた。有難いことだ。

 「今日は外に出られないねぇ、ドーサン」と私はドーサンの馬房の前でいろいろ話しかけたり、りんごをあげたりする。ドーサンも馬着を着たまま、心もとなさげに窓外の白い景色を眺めている。ドーサンは道産子ではない。生まれたのはアメリカの牧場。そこにも雪は降ったのだろうか。

 帰れなくなると困るので、早々にクラブをおいとますることになった。ドーサンも昨日のりんごに埋もれた一日の後だからか、りんごをたくさんあげても、あんまり反応がない。

おかんのことも忘れないでよ、ドーサン。

 


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