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vol.30(Jul.15th,2008)
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[2] 『くすのきだんちは10かいだて』(ひかりのくに) | ||
実は『くすのきだんちへおひっこし』はシリーズの2作目で、1作目は『くすのきだんちは10かいだて』です。2作目から読んでしまった私は、あわてて1作目も読んだのですが、こちらは管理人のもぐの視点から、大好きなくすのきだんちの魅力が描かれています。最後にある見開き2ページにわたる、くすのきだんちが夕闇に包まれていくシーンはとても美しく、本当にこんな団地があったらなあと夢見てしまいました。きっとみなさんもくすのきだんちとその住人達のファンになりますよ。ぜひ2冊続けて読んで下さいね。
さて、私がこの2冊を取り上げたのは内容もさることながら、巻末にある作者の言葉に感銘を受けたからです。作者の武鹿悦子さんは、くすのきだんちの素晴らしさをこう語っています。「住人の誰もがお互いを思いあって、いざとなればたちまち協力して事にあたります。みんな違う。でもだれひとり違うことを憎みません。違うことを認め合うから活かしあえるのです」「ここで暮らすことの幸せは、ひとと共に生きることの嬉しさを教えられることです。優しく温かいひとに接することで、自分もまた優しく温かくなれることの嬉しさです」
この言葉を読んで、私はしみじみ今の世の中にはこういう温かな人間関係が減ってきているなあと思いました。最近の殺伐とした暗い事件を耳にするにつけ、核家族化し人間関係が希薄になり、自己中心的な人間が増えてきている現代社会のひずみのようなものを感じてしまいます。今を生きる若者達が抱える心の闇がどこから来るのかはわからないけれど、せめて幼い頃にくすのきだんちのような絵本に出会って、他人を尊重したり思いやる気持ちや、人と関わる幸せを学んでくれたらと思いました。
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[3] ハッピーコラムC(神様の木の巻) | ||
和歌山城の一の橋から入ったすぐ右手に、巨大なくすのきがあります。樹齢450年というその木は、石垣の上から下を通る人々の頭上に覆いかぶさるように枝を張り、豊かな緑で私たちを癒してくれます。
大きな木のそばに寄るとパワーをもらえるというので、私はひそかにその木を「神様の木」と名付けて、お散歩の途中にその下を通るときは、立ち止まってお願い事をしたり、日々の感謝を唱えたりしています。何百年も生きてきた巨大な木には、不思議な力が宿っているようで、静かに見守っていてくれる気がするから・・・
『くすのきだんち』のくすのきって、こんな感じかなあなんて、今日も勝手な空想をふくらませながら、その下を歩く私です。
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